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zm「シッマお前、こんな訳分からん女なんかと一緒におらんとさっさと国に帰るで」
ゾムさんがコネシマさんの腕を掴むと、その反動でコネシマさんが持っていた荷物がどさりと落ちた。
コネシマさんはゾムさんの手を振り払うと、コンクリートの上に落ちた荷物を拾い上げた。
kn「Aは恩人やって言ったやろ、ゾム。AはW国の帰り方が分からん、俺の面倒を見てくれとるんやぞ」
「頼むから、Aにだけは迷惑掛けんな」とコネシマさんがゾムさんに念を押す。
ゾムさんはコネシマさんの言葉に納得はしていないようだったが、「チッ」と私に向かって舌打ちをすると渋々大人しくなった。
zm「シッマがそこまで言うなら見逃したるわ。…敵やと判断したら命は無いと思っときや」
見逃してくれるということは、下手をしたら私はゾムさんに本当に殺されていたのではないか。
先程のゾムさんに首筋に当てられたナイフの感触を思い出しゾッとする。
戦争を経験している人だもの、私のことなんて殺すのはきっと容易いことだろう。
「あのゾムさんにお聞きしたい事があるんですが…」
「何や？」とゾムさんに睨まれる。物凄く怖いけど怯むな、私。
「…さっきコネシマさんに国に帰ると言ってましたけど、ゾムさんはW国の帰る方法を知っているのですか？」
zm「W国の帰り方？そんなん分からんに決まっとるやんか。そもそもここがどこか分からんし」
kn「なんや、俺と一緒か…。A、すまんけどゾムも一緒に世話になってもええか…？」
「はっ！？シッマ勝手に決めんな！それぐらいやったら、俺は一人で野宿でもするわ」と言って、コネシマさんの申し出にゾムさんが猛反対をする。
コネシマさんに「大丈夫ですよ」と返すと、私とコネシマさんはゾムさんに目を向ける。
zm「…シッマの恩人、悪いけどしばらく世話になるわ」
「まだ信用ならんけどな」とゾムさんは付け加えた。
コネシマさんをW国に帰す手掛かりが見付かるかもしれないと期待をしていたけれど、どうやらゾムさんからはこれ以上手掛かりは得られそうに無い。
それどころか敵意剥き出しの新しい同居人に思わず頭を抱えたくなってしまう。
ゾムさんと歩み寄ることは出来るのだろうか、と少し不安になった。
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