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全員の顔が神山に向く。
神山はキョトンとした五人の顔をぐるっと見渡すと、用意していたコーヒーゼリーをスプーンとコーヒーフレッシュとワンセットにして渡した。
渡されたアルバイトたちがえ、と神山を見るが、神山の顔に浮かぶのは柔らかい笑みだ。
「勤務時間外なのに働かせちゃってるから、その対価やないけど、お礼的な？ あ、手作りやし、コーヒーゼリー苦手やったらごめんな？ ゆうてくれれば他のと交換するから」
なんてことないように言った神山に五人の顔に喜色が浮かぶ。お惣菜はたくさん食べてきた五人ではあるが、デザートとはとんと縁がなかった。神山にとっては作りすぎたもの、だが、アルバイトたちにとってはその程度では収まらない。
滅多にないコーヒーゼリーの登場に、そしてちょっとしたお手伝いの対価として渡されるには過ぎたるご褒美だった。
「いいんですか！？ 智洋くん！！ こんなレアなものをいただいて！」
目を爛々と輝かせながら言質を取る勢いで声を上げたのは大橋だ。その大橋に神山は大げさやなぁ、と笑いながら満更でもない顔で応えた。
「ええよ。もらってもらえると俺も嬉しいしな」
「それでは遠慮なくいただきます！ みんなお礼言うで！」
せえの、っと大橋が音頭を取り、その他四人が綺麗に頭を下げる。綺麗に誤認の声がそろった「ありがとうございます」に神山は声を上げて笑うと、ホンマ調子がええんやから、と続けた。
向こうにいるのは大人たちだけである。コーヒーゼリーを携えて戻った暁には、たかられるに違いない。神山もその点はわかっているため、五人にこの場で食べるように促す。
その言葉を待ってましたとばかりにラップを外す五人。コーヒーフレッシュをたらりと掛けるとスプーンで掬い頬張った。
ほろ苦いコーヒーゼリーとクリーミーなコーヒーフレッシュの調和がたまらない。
うーん、と堪能しながら二口、三口と口に運んでいくアルバイトたち。まさしく手が止まらないを体現したような様子に、笑みを深くするのは神山だ。
あっという間に頬張った育ち盛りの五人は、淵に残った小さなゼリーまで余さず食べきると、容器を置きごちそうさまでしたと口々に発した。時間にしてものの一分。育ち盛りの名に恥じぬ食べっぷりだ。
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umisorame(プロフ) - 待ってました。大好きです。これからの更新楽しみです！ (2022年9月26日 18時) (
レス) @page14 id: 67c933aaba (このIDを非表示/違反報告)
ハル７ - こんばんは。初めてコメント致します。更新の日付を見て飛んで来ました！せろ様の作品の世界が大好きです。お体、お大事になさって下さい。応援しております！！ (2021年6月26日 21時) (携帯から) (レス) id: f6711a1d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せろ | 作成日時：2021年1月11日 2時
