青い春の夢：04 ページ18
「スコーンもうまかったけど、もっとうまそうなニオイが紙袋からする！何が入ってんだ？」
そんな穏やかな空気を断ち切るかのように、エースが紙袋を指差してそう言った。
3人へのスイーツは紙袋ではなく肩に掛けた鞄から取り出したもの。しかしニオイの出所は鞄よりも大きな紙袋から。では紙袋の中身とは。
『これですか？カタクリ先輩へのドーナツですけれど』
あっけらかんと言ってのけるA。
即座にテーブルに身を乗り出して、大食いのボニーとエースが抗議の声をあげる。
「オイオイオイ、それ全部か!?」
『はい！』
「おれ達と差がありすぎるだろ！」
『そうですね？』
「「ずるい！！！！」」
『それはだって、特別な人にあげるものですし』
「なんだその"当然でしょ？"とか言いたげな顔！ああそうだよな！テメェはそういう女だよな！」
「おれも食い足りねえ…」
目に見えて憤慨と落胆を露にする2人に、当の本人は不思議顔。
残った2人はといえば、それぞれ違う意味合いの笑みを浮かべていた。
「特別はお前だけだそうだ」
「…当然だろう」
実はAが3人にお菓子を渡している時、隣でカタクリが物凄いオーラを放ちながらそれを眺めていたことにくまは気が付いていた。最中の意味がわかった時の、怒りよりも焦燥の感情にも。
それでもくまが最中を受け取ったのは、単純にAの気遣いが嬉しかったのと、どうせそんなことだろうと思っていたからだ。
Aは好意を隠そうとしない。言葉で行動で表情で、まっすぐにはっきりと心を語る。カタクリへのそれといったら、もう誰の目にもわかる程。
だから彼女が必死に守ろうとした紙袋が、カタクリに関係していないわけがないとくまは確信していた。
ガタリとカタクリが椅子から立ち上がれば、会話の最中だろうがパッと反射的に振り返るのも、最早予測など必要ない程に見慣れた彼女の当たり前。
「行くぞ」
それだけ言ってテーブルを後にするカタクリの背を、彼女が笑顔で追いかける。
それから少しして、カタクリに向けた笑顔のままで彼女はくま達にこう言った。
『今日も美味しく食べて下さってありがとうございます！また、作ってきていいですか？』
そんな風に聞かれて断れるわけがない。そもそも断る理由なんてない。
それでも毎回彼女がそう聞くものだから、一同は「勿論」と笑って頷くのだった。
『良かった！それでは、また明日！』
Aが大きく手を振る。
いつの間にか、紙袋はカタクリの左腕に収まっていた。
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露木アマナ(プロフ) - ちょっと色々あって更新できてませんでした；；続きはゆるゆるお待ちいただけると嬉しいです(>_<") (2019年11月26日 13時) (
レス) id: c2b02f4b53 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - 紅葉(クレハ)さん» 紅葉(クレハ)さんおいでませカタクリ沼ー！＼(*'▽'*)／ですが泣きもろくですか!?ﾋｴ、嬉しいやら申し訳ないやら…！本編も番外編もこれからは思う存分イチャイチャが書けるので、遅筆ではありますが責任、とらせて頂きますね！o(・ω・´o) (2019年9月22日 9時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(クレハ)(プロフ) - 貴方様のお蔭でカタクリ様の沼に浸かりました…そして更に泣きもろくなりました…どうしてくれるんですか！これはまたアマナさんに夢主とカタクリ様のイチャイチャを書いて責任をとってもらうしか…！！(訳:本編と番外共に滅茶苦茶面白かったです)(長文失礼しました) (2019年9月1日 17時) (レス) id: 966d05a96a (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ＊エアメル＊さん» えへへ…タイトルで予想されてるかなとか思ってたのですが驚いてもらえて作者冥利に尽きます(´-｀*)悲しい話にはならないので、青い春の夢を楽しんで頂ければ嬉しいです* (2019年8月17日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
＊エアメル＊(プロフ) - ま、まさかのそういう...？！凄すぎます...いやもう泣ける...こんな風に上手く青春を、学パロを入れてくるなんて.....(´；ω；｀) (2019年8月16日 18時) (レス) id: 3e0780c09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年10月31日 23時
