記憶はいずこへ ページ7
Aside。
.
雲の上にいる夢を見た。
フカフカでふわふわですっごく気持ちいい。
ずっとここにいたい。
フカフカさを堪能していると
雲の抱き枕がプカプカ浮かんでて
引き寄せられるようにそれに抱き着く。
お？
意外とガッシリ。
あったかい。
甘い良い匂いがする。
何これ、好き！
匂いフェチの私のタイプど真ん中の香り。
あれでもなんか知ってる匂い？
擦り寄るみたいにもっとギュウって抱き着いた。
トクトク。
ん？
心臓の音？
パチッと目が覚めて、
自分が抱き着いているのは人であることを理解した。
視線を徐々に上にずらせば真っ白いお顔が。
気持ち良さそうに眠ってる。
え、横山さん！
慌てて距離を取る。
なんで？
記憶を辿る。
確か昨日は俊に振られて、
横山さん呼び出して…
馬鹿みたいにお酒飲んだような…
「っ…」
そこでやっと、
ガンガンと痛む頭に意識がいく。
完っ璧に二日酔い…
水貰お…
横山さんを起こさないようにそっとベッドから抜け出して
キッチンへお邪魔する。
「失礼しまーす…」
冷蔵庫を開けさせて貰うと見事にスカスカ。
入っているのはお水にお酒、
チョコレートぐらい。
グラスも勝手に拝借して
ミネラルウォーターを貰う。
「っあー…痛い…」
薬欲しい…
頭痛は酷くなるばかり。
昨日は散々呑んで気持ちよくなったら
確か眠くなってきて。
うん。そこからだ。
そこから何がどうなってこうなった？
「ダメだ…
なんとなく楽しかったことしか覚えてない…」
よく見たら横山さんの物らしい
ブカブカのスウェットを着てる自分。
横山さんとおんなじ良い匂いが
自分からもすることに驚愕。
少しぼやける視界にも違和感。
慌てて洗面所に向かって鏡を覗くと
綺麗に落とされたメイク。
コンタクトは外されてる。
お酒臭さなんて微塵も感じない。
…私、絶対シャワー借りてる。
もしかして、シた…？
いやいやないない。
記憶ないぐらい酔ってるのにできるわけない。
分かんない。
なんでこうなった！
唯一分かるのは
ここが横山さんの家ってことと
自分が二日酔いってこと、
シャワーもちゃっかり借りてるってこと。
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
