振り回されるお兄ちゃん ページ3
横山side。
.
すっかり酔っ払ったAが
よこやまさーんって抱き付いてくる。
酔うと人に絡む癖があるから
ちょっとめんどい。
酒が入った時とか気が抜けた時とか
たまーに出る関西弁で
寝言みたいにゴニョゴニョと元カレへの愚痴を零してる。
Aの細いサラサラの髪を撫でた。
カメラマンと付き合っとったA。
この性格のせいで愛想尽かされたらしい。
「ほんまアホやなあ…」
雑誌に書いてること鵜呑みにしたり
料理でも、大倉の言うた通りにするあたり
素直っちゃ素直やねんけどなー…
髪を撫でてた手を止めてAを見ると
気持ち良さそうにスースーと寝息をたてている。
俺とかはAとそこそこ付き合い長いから扱いには慣れてるけど、
大抵の人はこいつのめんどい性格に嫌気が差す。
Aが本気で好きになっても、
いっつも振られて、泣いて。
そのたんびに俺らに甘えてくる。
ほんまはかわええ奴やのになあ…
見る目ないわ。
Aも、
Aを振る男も。
涙の筋が残る頬をスルリと撫でた。
スヤスヤ眠るAと
チビチビ酒を飲む俺。
全然飲み足りひんのに
呼び出した張本人爆睡って何事や。
その時テーブルの上の携帯が震えた。
「もしもし？」
倉『あ、横山くん？
今亮ちゃんらと呑んでんねんけどさ〜
横山くんもこおへん？』
「お前酔っ払ってんなあ…」
倉『えー？
横山くんも来るやろー？』
「なんで俺が暇なこと前提やねん
Aおるからあかんわ」
倉「え！Aちゃん？
連れて来てぇやー！」
"Aちゃんって佐藤A？
会いたい会いたい！"
どっくんの声が聞こえてくる。
倉「じゃ、よろしく横山くん！」
「はあ？よろしくって、って切れてるし」
暗くなった画面に浮かび上がった
新着メッセージがありますの文字。
タップするとそれは大倉からで、
店の名前と住所
それから
『はよ連れて来てな♡』というメッセージ。
「はあ…」
末っ子の我儘に振り回される俺って…
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
