透明の水玉模様 ページ18
横山side。
.
「お前なー…
来て欲しいんやったら素直にそう言うたらええやろ」
A「何の事？」
白々しくそう言うと
俺の向かいに座ってリモコンでチャンネルを変え出した。
A「みしまるくーん！」
テレビの画面に映る黄色い着ぐるみ。
その隣にはどっくん。
そういえば今日って日曜か。
この仕事しとったら休みなんか不定期やから
曜日感覚なくなってくる。
ご機嫌にドラマ見てるA。
事の発端は楽屋におる時に届いたAからのLINE。
A夜ご飯カレーの気分でしょ? 今日お隣さんカレーだって! 家の鍵は空けときます
訳:カレー食べに家に来て下さい
素直に家呼ばれた試しない。
そんなAにもはや呆れる。
冷める前にカレー食お。
「いただきます」
聞いてんのか聞いてへんのか分からんけど一応言うてから
スプーンを口に運ぶ。
「ん！うま！」
自然と口から零れた言葉。
A「ほんと？」
「おん！
さすが大倉直伝のカレー
料理初心者のAが作っても美味い」
A「私の腕が良かったんですー」
「よお言うわ
じゃがいもの皮もまともに剥かれへんかったんやろ？」
A「師匠の特訓の成果！」
「それずっと言うてるけど
いつ大倉に弟子入りしたん」
A「うふふー
懲りずにご指導頂いたの
次はオムライスとかパスタが良いかな？」
「あかん、全っ然話噛み合わへん」
こんなアホな話出来る女とかコイツぐらいやなあ。
話してる間もカレーを食べる手ぇは止まらへん。
「いやでもほんまうまいで
暫くこれでもええかも」
A「…お鍋空っぽになるまで食べに来て」
顔を上げるより先に
テーブルの上に落ちて来た雫。
「え、」
A「俊の為に作ったカレーなんて
バカらしくて食べれない…」
ポツポツとテーブルに出来る透明の水玉模様。
「…全部食うたるわ
俺が最近カレー好きなん知ってるやろ？」
手の甲で涙を拭いながらしゃくりあげるA。
「やからもう泣くな」
俺が思ってたよりずっと
アイツのこと好きやってんな。
アイツに見せたりたいわ。
どこが可愛げないねん。
お前のこと想って泣いてるコイツ
むっちゃ可愛えやん。
ちっちゃい子にするみたいに
Aの頭をテーブル越しにワシャワシャ撫でた。
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
