お揃い ページ12
Aside。
.
ピピピピ…と鳴り響く携帯のアラームを手探りで止めて。
体を起こして伸びをする。
時刻は11時。
アラームの音で横山さんも目が覚めたみたいで
気怠そうに瞬きを繰り返す。
横「やっぱよお寝れるわあ…」
"なんでやろ"と不思議そうに私の顔をじっと見てくる。
「起きよう！」
それがなんか恥ずかしくて
横山さんから逃げるようにベッドから降りて寝室を出た。
.
「私の服どこ？」
横「ああごめん、
洗濯機ん中放りこんで干すん忘れとった
もっかい洗うわ」
脱衣所に向かう横山さんの後ろ姿を見ながら
ずっと疑問に思ってたことを口に出してみる。
「なんで私シャワー借りたの？」
くるんと振り返った横山さんは
呆れたようにはあっと大きな溜息をつくと
横「お前が吐いたからやろ」
ハッキリそう言った。
「え！
服も汚した？」
横「おん
やから洗濯したんやん」
「まさか…
私、横山さんに吐かせてもらったりしてないよね…？」
横「そのまさかやな」
嘘！
いくら気心の知れた仲だと言っても
男の人にそんな最悪なとこ見られるなんて！
何してんの私！
仮にも女優なのに！
頭を抱えていると
目の前にコトンと置かれたコップ。
横「難しい顔してんとそれ飲んで落ち着き」
それは牛乳と砂糖がたっぷり入ったアイスコーヒー。
「甘いのしか飲めないって覚えてたの？」
横「子供って思われたくないから
プライベート以外では無理してブラック飲んでることまで
しっかり覚えてますけど」
"ほんますぐ見栄張るよな"
とまた呆れたように笑う。
悔しくて横山さんからテレビに視線を逸らす。
朝からつけっぱなしのテレビをぼんやり眺めて
ふと星座占いを思い出した。
「ねえねえ
横山さんも牡牛座なの？」
横「え？
ああ、おん
なんで？」
「充くんが言ってた
お揃いだね」
横「そらそうやろ」
「え？」
横「誕生日一緒やねんから
星座も一緒に決まってるやん」
「え！
そうなの？
5月9日？」
横「おん」
「えー！知らなかった！」
横「ドラマやってた時、
俺とお前と後輩と3人共誕生日一緒やな
っていう話したことあるやん」
「あれ、そうだったっけ」
横「俺は誕生日の日
今頃お前もおめでとう言われてんのかなー
って毎年思い出しとったのに」
そう呟くと拗ねたように口を尖らせる。
キュッ
胸が音を立てた。
おらんのかーい 2017/6/22→←蒸しパンと占いと二度寝と 2017/6/21
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
