スキルアップ！ 2017/6/16 ページ1
Aside。
.
俊「別れよっか」
「えっ」
家庭的な子が好きって言ったから
つい見栄を張って得意だなんて言っちゃって。
その嘘を本当にするために
ボンゴレビアンコとか作っちゃう
料理上手な友達に弟子入りした。
料理は大の二ガテなのだ。
だって！
1から順にレシピ通りに作ってるのに
急に現れる「温めたフライパン」！
1、野菜を切る
2、温めたフライパンに油をしいて炒める
いやいやいや。
1、フライパンを温める
2、野菜を切る
3、1で温めたフライパンに油をしいて炒める
って書いてくれなきゃ！
不親切！
って某料理レシピアプリ見ながら騒いで、
黙ってやり！って怒られたりしながらも
なんとか
『料理が(人並みに)出来る』
というスキルを手に入れた。
今日は俊が好きだというカレーをご馳走しようと思って家に呼んだ。
そう言えば会うのは久し振り。
自分史上1番のカレーが出来たのに、
カレーをよそうためにキッチンに向かおうとした時
背中にぶつけられた唐突な別れ。
「…なんの、冗談？」
俊「A、俺のこと好き？」
「え…」
俊「分かんなくなった」
「す、好きだよ…
好きじゃなかったら告白なんてしない」
俊「Aに告白されて素直に嬉しくて付き合ったけど…
普段ちゃんと伝えてくれないじゃん？
Aの気持ち確かめたくて
美結ちゃんとご飯行くって言っても
行ってらっしゃいって笑顔で送り出されるし。」
"工藤美結"
それは同じ事務所の後輩で
素直で愛嬌のある可愛い子。
だって、重い女は愛想尽かされるって雑誌に書いてたもん。
男は束縛されるのが嫌いだって。
本当は行ってほしくなかった。
行かないでって言いたかった。
好きって気持ちも毎日伝えたかった。
でも、恥ずかしくて。
重いって思われたくなくて。
私は私なりに考えて我慢してたけど
間違ってた…？
俊「好きになったんだ、
美結ちゃんのこと。
Aは素直じゃなくて可愛いげがないよ」
思考が追いつかない頭の中で
あの子は家事が苦手だったことを思い出す。
「家庭的な子が好きって言ったくせに…」
私の呟きなんか彼には届かず。
アッサリと部屋を出て行った。
終わりなんて、呆気無い。
部屋に広がる食欲をそそるカレーの匂いが
妙に切ない。
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
