sugar9.土方十四郎 ページ9
『ねえ、好きって言って?』
『あ? なんでだよ』
『だって、言ってくれたことないから……』
ソファに座って煙草を口に咥えている彼は、私をチラリと横目に映す。思わずその隣で私は膝を抱え込み、そこへ顔を埋めた。
すん、と鼻をすすれば十四郎の煙草の匂いがして近くにいることに安堵するのだが、どこかその煙によって彼のことが見なくなってしまう。
『……言わなきゃ、いけねェの?』
面倒臭いと思われたのかもしれない。でも私は直接言葉で伝えてくれないと安心できなくて、ちょっとした十四郎の変化に疑心暗鬼になってしまいそうになる。
彼はふう、と息を吐き、口から白煙をユラユラと立ち昇らせた。
『……あー、もう言えるかっつーの!』
急に黙り込んだかと思えば、彼は髪をガシガシと掻いてそのまま頭を抱え込む。恨めしそうに私に視線を送った十四郎は煙草の火を灰皿に押し付けて消した。
『今更、面と向かって好きとか言えっかよ』
『言わなくても分かんだろ?』
『……分かんないよ』
『分からないから、言って欲しいんじゃん』
まだ意地を張ったままの私は、吐き捨てるように声を出す。そんな私に小さな溜め息を聞かせた十四郎。
「ごめん」「何でもない」「忘れて」と言えたら良いのに、結局何も言えずに彼が何かを切り出すのを待っていた。
不意に私の肩を掴んだ十四郎はもう片方の手で顎を掴む。そのまま顔を近づけては傾け、私との距離をゼロにする。黙れの意味なのか、ただの誤魔化しなのか……そうやって十四郎の行動を私は疑い始めてしまう。
彼は唇をゆっくりと離し、私のことを抱きしめた。十四郎の髪が耳を掠めるのがくすぐったく、身をよじれば今度は耳朶を唇で挟まれる。
そしてそこにもキスを落とし、熱っぽい吐息混じりの声で囁いたのだ。
『……んなにも愛してんだよバーカ』
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ハル(プロフ) - なな天パさん» いいえ〜! ね、本当に教師との恋愛って憧れるけど実際どうなのかなー、と考えながら作った結果がなんだこれって感じになってしまったのですが、そう言ってもらえるととてもありがたいです(´ ∀`) 閲覧とリクエスト、ありがとうございました (2018年1月6日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ハルさん» リクエストを受けて下さりありがとうございます!夢主ちゃんが冗談が嘘って言った後の松陽先生の確認の行動が可愛かったです。あと、最後、二人でひとつのブランケットって言うのがすっごい良かったです。全部ひっくるめて最高でした!本当にありがとうございます!! (2017年12月30日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» 儚すぎて書き終わった瞬間に「ううん」と首を捻ってしまうくらいのあれですね……(;´д`) バイオバザードとかやってたんですか? それはそれでいいクリスマスだと思いますよ!自分の好きなことをするのが一番です! こちらこそ閲覧ありがとうございました( ´ ∀`) (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» まじか!ありがとう!! もうハルとして見てもいいよ笑 どうせそっちも何にも変わらないハルだし笑 うん、頑張るね! あっちでも夢書きやってるから、また時間があったら見に来てくださいな(^人^) ありがとう (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 儚いのがまた良いですね。私好みです笑 ちゃんとクリスマスになってますよ!!こんなクリスマス…羨ましいです…。私なんて、前日も当日もゾンビから世界を守ってましたから笑 でもハルさんのお陰で最高のクリスマスになりました!!ありがとうございます! (2017年12月27日 15時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月5日 18時