スングァンと胃袋 ページ8
スングァン視点
「ヒョンは秋夕どうするの?」
僕がAヒョンにようやくそう聞けたのは、秋夕のオフが始まるほんの三日前だった。
今日だってみんなそれぞれ自分の家に帰るための準備をしたり、仕事中なのにどこか浮足立っている感じの人もいた。
それなのに、Aヒョンだけは相変わらず動きが無い。
宿舎のソファに座るヒョンを見つけると、眼鏡越しに書類の束を捲りながら流し見していた。
「んー」
「僕は帰るんですけど、済州島に」
「お母さん喜ぶだろうね」
「シュアヒョンはジョンハニヒョンのところに行くんですって」
「ああ、シュアはつい最近帰ったばかりだもんね」
「Aヒョンはどこかに行く予定立てましたか?」
「そうだねえ」
「会社の……理事さんの所に帰ったりするんですか?」
「あの人は家族と言うより……諸悪の根源と言うか……」
「え?」
「いや、秋夕は家族で過ごすものでしょ。ゆっくりして欲しいからお世話になる気はないかな」
「そっか……それで、えっと……ヒョン、」
「一緒に行きませんか?」と言いかけたところで、Aヒョンが「あっ」と何かを思い出したように顔をあげる。
言いかけていた言葉がグッと喉元で止まった。
すぐにメンバーの名前を順番に口にして、指折り確認し始める。
眼鏡の向こう側にあるヒョンの綺麗な目は、分厚いレンズで歪んだせいでいつもより小さく見えてしまう。
それ似合わないから掛けないでって言ったのに……もう、このヒョンは。
「グァニが12番目だよ。ブービー賞おめでとう、商品が必要だなぁ……」
「何かあったような……」と言って、足元に置いてあったカバンをガサゴソと小探しし、飴の袋を丸々一袋取り出して僕に投げて寄越す。
置いてきぼりの僕がその袋をうまくキャッチしたのを見て、うんうんと何故か満足そうに頷いた。
そのまま書類を持ち上げて、また自分の世界に籠もりそうになるから慌てて阻止する。
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せの(プロフ) - ちょんちょんささん» ありがとうございます! (2019年6月6日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
ちょんちょんさ(プロフ) - このお話がとても大好きです!!続編も楽しみにしてます^ ^ (2019年6月4日 11時) (レス) id: bf015467db (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - うゆさん» ありがとうございます! (2019年6月3日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - 更新ありがとうございます!毎話毎話、素敵すぎて心がぎゅーっとなります( ; ; )そのままずっといっしょに幸せに暮らしてくれーーーーー( ;∀;) (2019年6月1日 15時) (レス) id: 81aa380229 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます! (2019年5月31日 16時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年5月20日 10時