41 ページ42
ハユンと兄の手厚いサポートと、会社の理解のおかげで、退社の手続きは2日ほどで済んだ。
元々は自主的に退社することはほとんどできないシステムだったものの、私への嫌がらせに会社は責任を感じてくれていたようで特別に許してもらえたのだ。
学校の方は、すんなり行くわけではなかった。
学期途中の転校であり、公立でもあったためなかなか苦労したわけだが、それ以上の問題が。
【カトク交換しよ！】
そう、やけに親しげなこの子、アラさん。
私の転校でseventeenとのつながりが消えてしまうとでも思ったのか、手のひら返して迫ってくる。
残り数日の学校ぐらい、穏やかに過ごさせてほしいものだ。
挙げ句の果てに私を迎えに来た兄に対し、詰め寄ってくっつこうとするのだから迷惑極まりない。
兄に友達なんかじゃないと伝えたら、
【やめてくれる。caratでもないのに。】
なんて一刀両断、暗にファンだと認めてねえぞと追い討ちをかける徹底ぶりで思わず笑みが溢れてしまった。
ここ数日で、耳が聞こえない生活にも随分慣れたものだ。
まだ知らない人には無視していると思われることもあるが、補聴器を見せつけるようにつけていればそんなことも減ってきた。
もっとも、心因的なものなので補聴器に特に意味はないけれど。
そんなこんなで、全ての手続きを終え宿舎を出た。
ついにハユン1人を残してしまうことになり心が痛んだけれど、夢を叶えてくれればいいなと思う。
宿舎の外には両親の車が止まっていた。
この車に乗れば、私の夢は本当に終わるのだろうな。
そう思うと、これまでにない寂しさと脱力感が私の身を襲った。
私は私が思うより、アイドルという夢に執着して頑張っていたんだなと実感する。
さようなら、私の夢。
歪んだ顔を隠すように帽子を深く被って、私は車に乗り込んだ。
胸いっぱいに吸い込まれた、潮風の匂い。
年末ぶりに戻ってきた釜山は、臨時休業のお店も多く少しだけ寂しくなっていた。
我が家にも、一つだけ変わったところがある。
そう、目の前でニヤニヤしているこの人。
キムミンギュ。
話を聞けば、個人スケジュールでこちらに来ていたため寄ってみたらしい。
なんといってもキムミンギュ、メンバーの家族への絡みがすごい。
今だって、
【やー、ジウナがこんなに大きくなって！ソウルにいても会えないからオッパは寂しかったよ】
こんな様子である。
いやもはやオッパより兄っぽい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 733人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「SEVENTEEN」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千笑 - お待たせいたしました。更新を再開させていただきます。 (2023年1月9日 13時) (
レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - いつも小説を楽しんでいただいてる皆様へ。作者の千笑です。私情により、ログインすることができなくなってしまったため、長期間更新ができないかもしれません。申し訳ありません。状況が改善した時にまたお伝えします。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
Kokuma(プロフ) - めちゃめちゃ好みです！続きが楽しみです。 (2022年12月17日 21時) (レス) id: 9eeff62ceb (このIDを非表示/違反報告)
こまり(プロフ) - まさかの展開すぎてびっくりしてます。続き気になります！更新頑張ってください！ (2022年12月7日 23時) (レス) @page38 id: e86bc2c528 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 前々から読ませていただいているのですが、読んでてすごく引き込まれるし、読むたびに続きが気になってしょうがなかなってしまいます！！むちゃむちゃ好きです！！いつも更新ありがとうございます‥！！ (2022年12月7日 0時) (レス) id: 6864ce5b3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千笑 | 作成日時：2022年10月31日 10時
