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神様なんて、この世にはいない。
携帯を片手に呆然と立ち尽くした私の周りを、退勤直前の練習生たちが囲む。
ネットに書き込まれる罵声の数々を、私のプライドを傷つける言葉の数々を。
彼女たちが声にして読み上げていく。
「曲はなに？幼稚園生が作ったの？」
やめて、聞きたくなんてない。
「聞くだけで耳が疼くね」
そんなことない、周りは褒めてくれた。
文章が、声になり、私の耳へと入ってくる。
知らず知らずのうちにうずくまった私に追い打ちをかけるように、周りは言葉を投げ捨てる。
言葉の一つ一つが、重苦しい鉛となって私の上にのしかかった。
聞きたくなんてない。
聞かなければ苦しくなんてないはずだ。
私はこんな気持ちにならなくて済んだのに。
耳を掻きむしりながら、頭を抱える私に、言葉は溢れて私を刺す。
「やっぱ血筋かな。自信のある感じがすごく嫌。」
「兄に似て——」
やめて、それ以上もう
「やめろ。」
ぷつり。
脳裏で糸が切れる音がする。
ああ、これならいっそ
耳なんて、聞こえなきゃいいのに。
体をゆすられる感覚と、頰を切る風。
体を震わせながら目を覚ますと、目の前には今、1番会いたくなかった人。
兄が口を開き掛けたところで、感情が堰を切ったように溢れ出す。
オッパにはわかんないじゃん！オッパのせいなのに、それで苦しんでるのにさ！私だって普通に練習生して、デビューしてってしたかったし！オッパはずるいよ！なんでもやって、たくさんのファンに愛されてて、作った曲は大ヒット！私なんかとは世界が違ってさ！
ちがう、ほんとは思ってない。
全部、全部オッパのせいだ！
唖然として立ちくす兄が、今まで私に見せたことのない、驚きとも、あきれとも、怒りとも少し違う表情を浮かべた。
まるで——
と、兄が口を開こうとして、私に近寄る。
また兄を傷つけてしまうと私は咄嗟に、思ってもないことを口にしようとした。
ちかずか—————————
あれ？
私、さっきからなんて言ってたっけ？
兄が、音も発さず口をぱくぱくと動かした。
オッパ？なにして、
そこまで口にし、ハッと気づいた。
おかしい、どうして
耳が、聞こえない。
おかしいのは兄ではなく、私の方だ。
あまりに興奮していたのか気づかなかったが、先ほどから自分の声が耳に入ってくることもない。
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千笑 - お待たせいたしました。更新を再開させていただきます。 (2023年1月9日 13時) (
レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - いつも小説を楽しんでいただいてる皆様へ。作者の千笑です。私情により、ログインすることができなくなってしまったため、長期間更新ができないかもしれません。申し訳ありません。状況が改善した時にまたお伝えします。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
Kokuma(プロフ) - めちゃめちゃ好みです！続きが楽しみです。 (2022年12月17日 21時) (レス) id: 9eeff62ceb (このIDを非表示/違反報告)
こまり(プロフ) - まさかの展開すぎてびっくりしてます。続き気になります！更新頑張ってください！ (2022年12月7日 23時) (レス) @page38 id: e86bc2c528 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 前々から読ませていただいているのですが、読んでてすごく引き込まれるし、読むたびに続きが気になってしょうがなかなってしまいます！！むちゃむちゃ好きです！！いつも更新ありがとうございます‥！！ (2022年12月7日 0時) (レス) id: 6864ce5b3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千笑 | 作成日時：2022年10月31日 10時
