山田家長女と入間家長女の日常 5

172日目 三郎の家出 ページ21

三郎side




その日は朝から調子が悪くて、ずっとイライラしていた。いつも通り二郎は馬鹿でうるさいし、その馬鹿のせいでいち兄に怒られるし。


学校では性格の悪い先生に絡まれるし、食べたかった購買部のパンは売り切れてるし、終礼はいつも以上に長いし！


電車は満員で人に押しつぶされるし、やっとの思いで家に帰ったと思ったら鍵はしまっていて。カバンの中を探ってみるも鍵は見つからない。


ドアの前で本を読んで待っているといち兄が帰ってきてくれたので家に入れた。


晩御飯まで自分の部屋で勉強しとこうと思ったら次は教科書を学校に置いてきた。イラつきでついため息が漏れる。


6時半頃、二郎が帰ってきた。部屋にいてもすることないし1階に降りる。リビングではいち兄が晩御飯を食べていて二郎がソファで漫画を読んでいた。


そういえば見たいテレビがあったんだと思い出す。誰もテレビ見てないからいいか、と勝手ながらチャンネルを変えさせてもらう。


それから何分か経った頃。二郎が電話をし始めた。友達からだろうけど電話するなら自分の部屋いけよ。


話は盛り上がってきたのか二郎の声もでかくなっていく。




三郎「おい二郎、声がでかいんだよ」

二郎「おー、気をつけるわ…あ？弟だよ」




本当にわかってるのかこいつ。またイライラが溜まっていく。その溜まりに溜まったイライラは二郎の笑い声によってついに爆発した。




三郎「うるさいって言ってるだろうが！！」

二郎「あ？んだよ急に」

三郎「テレビ聞こえないんだよ！！」

二郎「はぁ？音量あげればいいじゃねぇか」





正論を言われたっていうイラつきととお前が部屋行けば済むっていう文句で完全に爆発した。


一椛姉の「ただいま〜」という声。いつもは返すけれどそれどころじゃない。キレまくる僕に対し二郎も負けじと文句を言う。


しかしついにいち兄の声が響いた。




一郎「お前らうるせぇよ！！兄弟仲良くしろって言ってんだろうが。二郎も、ダチと電話すんなとは言わねぇけど長電話なら部屋でしろ。」

二郎「うぅ、ごめんよ兄ちゃん…」

一郎「それに三郎。何をそんなに怒るんだよ。部屋に行けの一言で終わるだろ？テレビが聞こえないとかそんな理由でそこまで怒る必要ないだろ」




わかってます。わかってるんだそんなこと。けどそうじゃないんだ。いち兄に言われても収まらない怒りは二郎の一言で完全に爆発した。




二郎「しょうがないよ兄ちゃん！こいつ友達いないから」

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