肆拾弐 ページ42
もう嫌だ。
童磨さんに勝手に体を触られ、接吻を交わされ、血を全身に混ぜられる。
お陰で自分を守れる強さは手に入れた。
けれど、鬼になっていく自分と、襲ってくる童磨さんが怖くて仕方無かった。
「(逃げよう)」
耐えられない。失敗したら殺されてしまうけど。
城の出口なんて知らないから、出来るだけ下の階に降りて窓から逃げよう。
ぼろぼろと崩れる涙を手で抑えながら階を降っていく。
「何処へ行く」
背筋がぴんと伸びて汗が吹き出す。恐怖で目を涙が覆う。
歪んだ視界でこの城の絶対権力者の人が、此方に歩み寄ってくる。
「逃げようとでも考えているのか、浅はかな考えだ」
「っひ、い」
頭に手を置かれる。それは撫でるとか生優しい物ではなく、話によっては直ぐにでも頭を潰せる、と言う脅しに近かった。
最初に会った時と同じ様に顎を持たれて、目を合わせられる。
「お前はもう無理そうだな」
「っえ、…っが！」
頭に置かれていた手と反対の手で、無惨さんは私の腕を落とした。
血が溢れ出て、間もなく出血死してしまうのだろう。外気がびりびりと千切れた血管や肉を刺す。
「やはり弱い者を育てても弱いな。気のさ迷いだった」
「っは、」
荒い息をする度に肩を動かす為、何度も刺される様な痛みが続き、意識が朦朧としてきた。
頭にも骨にひびが入る音が鼓膜に響き、死を覚悟した。
だが、
「っ！！」
「っ！？」
無事な左腕を上げて、無惨さんにかざす。
しばらくすると、無惨さんの息を荒くさせて体の自由を奪えてきた頃、左腕を無惨さんの首を巻き付けた。
付けるのは簡単な距離であった唇を奪い、血気術で体力を奪っていった。
「小っ…娘…！！」
「あっ、が…！」
腹を爪で裂かれ血が溢れる。
けれど、先程の接吻で再生した右腕も加えて、強く首に絡み付けて体力の吸収を続けた。
「(盛らせる術は、鬼には効かないと童磨が言っていた筈だが)」
裂かれた腹もみるみる内に治り、追って来ない様にそのまま吸収を続ける。
口を離すと無惨さんは膝を着いて、立ち上がれなさそうだった。直ぐに城から飛び降りた。
盛らせる血気術。
これは、Aに好意を持っている者だけに使える術。
その事にAも薄くは気づいていたが、無惨に使ったのは捨て身であった。
「お兄ちゃん…」
数日ぶりに林に戻ってきたA。
一度自分を見せただけの人間をも好きにさせる。無惨ですら好意を抱かせる程の美しさを持つ、その妹。
まさに、性の鬼。
童磨に効かなかったのは、童磨に感情が無かったからだと思われる。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
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西 - この方角に福があるはずです
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした！！細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました！！こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます！！！ (2023年1月30日 21時) (
レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、｡ﾟ(っ´;ω;`ｃ)ﾟ｡ (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です！義勇好きにはたまりません！最高です！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア！！千寿郎好きだから感謝！頑張って！ (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ice.11 | 作成日時：2020年3月28日 15時
