私も生きてたのに

参拾参 ページ33

「…こうなるので、控えていたんです」



申し訳無さそうに俺を引き留めるA。
もしかして、接吻をすると何かが起こってしまうのか。

玄関では冷えるので、居間に移り面と向かって話をする事にした。



「どういう事だ」


「…この一週の事です。
誰かに顔を近付けられると、相手を可笑しくさせてしまって…」



可笑しく、とはきっと先程の俺の様になってしまうと言う事だろう。
原因も何も分からずに困り果てていたらしい。
相手も相手で気まずく話しづらくなり人間関係にまで支障をきたしていると。



「明日、胡蝶に話しに行こう。」



今まで一人で抱えていたが限界が見えたのか、Aは大人しく頷いた。

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「妓夫太郎が死んだ。」


「それは申し訳ありませぬ！…どの様に御詫び致しましょう」



重力を感じさせない城で、美青年の二人が話をしていた。
その他にも人は居た。…否、人とは呼ばない。何れも鬼であった。

様々な色が混ざった瞳を持つ鬼に、建物の上下逆に佇む鬼は命令を下す。



「竈門Aを捕らえろ。」


「承知致しました！仰せのままに」



ひょうきんな態度で言葉を返す虹色の瞳の鬼。
集まった他の鬼達も話を終え、散らばっていった。



「あぁ…美味しそうだなあAちゃん」



鬼は舌舐めずりをした。

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