拾壱 ページ11
「なぁ炭治郎、炭治郎って好きな人いるのか?」
「何だよ善逸。急に。」
少年の輝く金髪は夜の闇の中でもかなり目立つ物であった。
鼓の鬼を破り、二人の仲間にした彼は鎹鴉に命令されて藤の花の家に居た。
その、竈門の名字を持つ兄は、『好きな人』と聞かれ咄嗟に彼女を思い出してしまった。
「…善逸。驚かないでくれよ。」
「え?あぁ。何だよ改まって。」
「……俺、妹が好き、だったんだ。」
がばっと布団を退かして起き上がり、部屋の隅に逃げる善逸。今にも叫び出しそうだったので、慌てて口を押さえた。
善逸を一旦落ち着かせ、布団にもう一度入りこそこそと話をする。
「炭治郎、お前禰豆子ちゃんが好きなのか…!?」
「ね、禰豆子じゃなくて。勿論、禰豆子のことも大切だが、善逸が言う好きとは別だ。
…家を襲われた時に死んでしまった。次女の、A。」
あの時の体温は今でも思い出せる。悲しくなるほど低く、俺の心を引き裂くような冷たさ。
白くきめ細かい肌が、増して一層白くなり青くなっていて。
死に際でも、Aは綺麗だった。
「自分の手で確かめた。冷たかったよ。
…病弱であまり世を知らなくて、無垢な性格だった。伊之助も禰豆子も綺麗だけど、Aは、何だか違うんだ。」
笑えば、花が枯れて崩れていくことを思わせるほど、弱々しかった。
だからこそ、長男の俺が何とかしないといけないと感じて一生懸命愛して、守ってきた。
けれど、
「…Aが成長していくに連れ、綺麗になって大人になっていくのを見ていたら、……」
「そう、なのか。」
善逸は目を少し伏せて、眉を下げた。
そう、好きになっていた。
それからは、共に風呂に入らなくなったり、着替えは禰豆子に頼んだりしていた。
唯一続いていた、一緒に寝ることは、毎晩我慢で苦しかった。
「俺の歪んだ愛で傷つけてしまわないか怖くて、避けていたんだ。
…きっとAは傷ついていただろう。本当に、後悔してる。」
「……歪んでなんかないよ。ちゃんと、真っ直ぐで綺麗な愛だ。」
恋愛癖が悪い善逸に言われても普段の俺なら納得出来ないが、今はその言葉が嬉しくて、信じる他無かった。
そして口に出したせいか、遅過ぎるAへの後悔の念が押し寄せていた。
A、ごめん。あからさまだったよな。俺はAが大切だ。冷たくしてごめん。ごめん。ごめん…
謝る言葉しか出てこない。
愛を囁けば、戻れない気がしてならなかったから。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
2723人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時