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帰る場所のない私を炭治郎は誘ってくれたが、断り宿での生活を送っている。
『...おかえり』
私の鎹鴉の名を”鈴”という。
暫く姿を見ないと思えば、彼の脚には文らしきものが括り付けられていた。
『...あぁ、あの人か』
文の最後に書かれている名を見なくても、字でわかる。
”産屋式輝哉”
代々受け継がれている、産屋式家97代目当主。
鬼殺隊の頭である。
私が実際にお会いしたことあるのは一度のみ。
父とはどうやら深い関係だったらしく、彼らはよく文のやり取りをしていた。
今思えば、彼らはその時にこのように鴉を使っていたのだ。実際、父の危篤を知らせ、自身の家や書物を全て燃やしたことを記載した文を彼へと届けたのも、鴉だった。
父の危篤、及び私が最終選別に受かったことに関することが綴られていた。
さすが鬼殺隊の頭、私が最終選別を突破したことは知っていたらしい。
「雲林院 Aで間違い無いだろうか」
ふと自身の頭上へと影がかかったと思えば、そこには男性が立っていた。
『...そうですが』
ここは宿の中庭なのだが、どうやってこの人は入ってきたのだろうか??
私が頭を上げればそこにはひょっとこ面をつけた男だった。
それに私を知っているようだし、鬼殺隊関係だろうかと考えていると、目の前に木箱が置かれた。
「俺は鋼塚という、お前の日輪刀を打った」
『...ほう』
木箱から出された刀を見て、私は目を細める。
「日輪刀は、太陽に一番近い山で取れる猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石によりできている。一年中日のさす陽光山で採れる」
なんだかボソボソと説明をしているがあまり聞いていなかった。
『これが日輪刀...』
私が父から受け継いだ刀とは違い、想像よりも軽かった。
「色変わりの刀とも呼ばれていてな、さっさと抜け」
私は言われるがままに刀を鞘から抜いた。
「『..緑...??』」
緑というか、私の瞳と同じ”翡翠色”のようだった。
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人形師(プロフ) - 凄く面白いです!無限列車編書いてほしいと思いました。自分のタイミングで良いのでいつか書いてください。 (2020年3月2日 13時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおいろ | 作成日時:2020年2月10日 8時