【鬼滅の刃】猫の鳴らす鈴音 (ページ31)

今日:11 hit、昨日:6 hit、合計:43,404 hit

31 ページ31

「ちょっと待ってください！！」

行ってしまったと思われた炭治郎が戻ってきた。

「その傷だらけの人に頭突きさせて貰いたいです絶対に！！禰豆子を刺した分だけ絶対に！！頭突きなら隊律違反にならないはず！！」

ギャアギャアという炭治郎に、どこからか石が飛んで行った。

「お館様の話を遮ったらダメだよ」

「申し訳ございません！！」
「申し訳ございませんでした！！」

必死に謝る黒子さん達が可哀想だ。

「さて、A。前に出てきておくれ」

私は池の近くから柱の横を通り過ぎ、彼の前で膝をつく。

「こうして再び君に会えたこと、とても嬉しく思うよ」

『お館様もお元気そうで何よりです』

「君とは話したいことがたくさんある。柱合会議が終わるのも遅い、あまねと一緒にいてくれないか」

『はい』

すると奥の襖が開き、すぐにあまね様が顔を出した。

彼のお内儀様だ。深い関係があった私の父と、産屋敷耀哉様。

代わりにあまね様は我が家に来ることは多く、母代わりのような人だった。

私は「失礼します」と柱の方々に頭を下げる。驚いた顔をしている者もいたが、あまね様の元へと駆け寄った。

襖が閉まると同時に私は疲れ切って猫の姿になった。

「お疲れ様です」

あまね様はそう呟くと、私を腕に抱えて屋敷の廊下を歩く。

しばらく進むと、襖を開けて中に入れば女の子二人。

なぜこうも産屋敷家の面々は、皆同じような顔立ちに見た目をしているのだろうか。

私にさっぱり見分けがつかない。

「かなた、くいな。この猫を湯殿で綺麗にしてきてください」

私は驚いてビクッとすれば背中をトントンと撫でられた。背中にある傷を避けるように。

「それとも、人間の姿で介護される方がよろしいですか？」

『...』

私がおとなしく黙りこめば、あまね様は白髪の女の子二人に私と手渡した。

その後私は、巧(たくみ)湯殿でわしゃわしゃと綺麗にされた。