【鬼滅の刃】猫の鳴らす鈴音 (ページ22)

今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:43,406 hit

22 ページ22

『炭治郎！！！』

その場にたどり着いた時、そこには刀が折れたまま戦う炭治郎と、空に糸で吊られた禰豆子がいた。

「ッA？！」

『ごめん、遅くなった』

吹っ飛ばされたであろう土煙りをあげる中、膝をつく炭治郎の元へと駆け寄る。

彼の前へと立ちはだかるように、刀を抜いた。

目の前にいるのはやはりあの時の男の子だった。

「僕の身体は、僕の操るどんな糸よりも固いんだ」

「A気をつけろ！！この鬼は十二鬼月だ、操る糸も、首も、固い！！」

炭治郎の叫び声に、ギリと歯を噛みしめる。

「何、子供が増えたところで変わらないさ。君たちに僕を倒すことはできない」

『風の呼吸、壱ノ型塵旋風・削ぎ(いちのかたじんせんぷう・そぎ)』

こちらに向かってきた糸を全て切ることはできず、腕や顔に糸がかするが間合いを詰めることはできた。

『ッ！！！』

確かに私の刀は彼の首に当たったはずだ。

だがその刃が通ることはなく、大量の糸に襲われるように私は吹っ飛ばされた。

「A！！」

再び放たれた糸から逃げるように距離をとる。

身体中に出来た傷がヒリヒリとするが、目の前の鬼は全くの無傷だった。

「...すばしっこい奴だな」

すると視界に炭治郎が走っていくのが見えた。

「拾ノ型生生流転(じゅうのかたせいせいるてん)！！！！」

炭治郎の声が聞こえたと思えば、水の龍の姿が見えた。

「ねえ、糸の強度はこれが限界だと思ってるの？？」

糸を切りながら進んでいく炭治郎に、下弦の伍が小さく呟いたのがわかった。

「血鬼術、刻糸牢(こくしろう)、もういいよ、さよなら」

『炭治郎！！！！』

普段叫ばない私が、

喉が痛いと思うほどの声で叫んだ。

下弦の伍の手から糸は一気に、血のような赤黒い色に変わった。

『ッ』

あのままじゃ危ない、間違いなく炭治郎は切り刻まれてしまう。

助けられないかと刀を構えて走り出そうとした時、聞いたことのない音が鳴った。

『え...』

私の足は立ち止まる。

「ヒノカミ神楽演舞(えんぶ)！！！！」

水の龍が、火の龍になったのだ。

私は見惚れるように、炭治郎を見つめた。

こんな音聞いたことがない。

こんな香り嗅いだことがない。

とても、綺麗だと思った。