___ ページ6
・
ぽろぽろ…
大粒の涙がおにぎりを口に入れた瞬間9歳から流れた。
目尻を真っ赤にして涙が顎へ伝っていく。やがてそれはおにぎりへ落ちていった。
9歳は泣きながらゆっくりゆっくり、しかし止まることなく、おにぎりを口へ運んでいった。
嗚咽を時々吐きながらどんどんおにぎりを食べていく。
喉を詰まらせないように催促しながら心ゆくまま食べさせた。
料理が得意とは言えない大学院生が作った、何の変哲も無いおにぎりを食べて泣いた__。
それはおにぎりに対して泣いたのではなく、心の余裕ができたことに安心したという事を暗示していた。
9歳が、どうしてここまで季節外れの格好で来たのか…。
どこかで見たことのある顔と声。
この謎が解き明かされることはない。明日にはこいつを交番まで届けなくてはならないからだ。
「しょっぱいぃぃぃ〜〜……」
「いやそれお前の涙だから……」
いや…塩入れ過ぎたかも。
そうかそうか…俺はこいつを気に入ったのかもしれない。
おにぎりを食べ終わった9歳をソファーで眠らせ、俺はデスクで突っ伏して寝た。
どうかこいつが無事になる事がありますように。
暗くなった部屋で目を閉じるとすぐに睡魔が襲う。
薄れゆく意識の中で思い出した。
あれ……
鍵しめたっけ……
・
112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピーチフラペチーノ(プロフ) - yuriori12911さん» ご指摘ありがとうございます!すみません全然気づいていませんでした…!すぐ修正します。 (2022年9月25日 18時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
yuriori12911(プロフ) - 多分仮名に あい が登録されているので、「あいつ」の あい が、名前に変換されています。確認してくださると嬉しいです。 (2022年9月25日 4時) (レス) id: 4df0e29a7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2021年1月1日 23時