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#34 ページ34

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TECvs PRX
第3マップ ロータス
第16ラウンド目 マップカウント9-7 TEC優勢

そんな時に私は目を覚ました。


最後にある記憶は、施設で目を覚ました時なのに。


今私の視界に入ってきたのはLOSEが映る液晶。


外したヘッドセットの外から聞こえる耳をつんざくような大歓声。

痛い頭。
熱い顔。
力の入らない手。
だる重い体。

自分の異常さはすぐにわかった。

そしてふと感じた顔面の違和感。


思わず手を当てると、赤黒い液体が私の手についた。


鼻血が出たんだ。


これには周りも気づいたのか、人が寄ってくる。


「大丈夫ですか!?」「誰かー!ティッシュくれー!」


あぁ。みんな優しいなぁ。

このまま、やめてしまいたい。


こんな辛くて、苦しくて、嫌なこと、やめてしまいたい。


頭が割れるように痛くても、たとえ体に限界が来て倒れても、


それでも動かされて、立ち上がらされて、


別にここには私が楽しいと思えるものはないのに。


私が最強になれる要素も、上を目指す理由も何もないのに。


今までゲームをやり続けたのは、ただ、“楽しかった”からのに。


『……ぃ、…しい』
「ん?なんか言った?」
「Are you OK?」

呼びかけられる声、いい思い出がある日本語。


それに私は縋って、手繰り寄せて、


『苦しい……もうやめて…これで最後にさせて……』


そう呟いて、再度意識が途切れた。


また私は自制が効かなくなった。


「え…?」


スタッフは困惑する。
突然芸者が日本語で、助けを求めたからだろう。

『…hm! It’s OK! Don’t worry.』

そして、何もなかったかのように、ティッシュを鼻に詰めながら
また彼女は試合に戻っていく。


まるで、そこで人が変わったかのように。


「芸者ってやっぱ…名前ローマ字だったのか…?」


最強で最高な日本の異端児は、一体何者なのだろう。

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mobutyan(プロフ) - 久しぶりにこんなにも感動する小説を読みました。忙しいかとは思いますが更新ずっと待ってます。 (8月17日 3時) (レス) @page34 id: 97fa38bdce (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白くて定期的に読み返しています。続きを楽しみにしています! (2023年3月8日 23時) (レス) @page32 id: 87831ffb52 (このIDを非表示/違反報告)
ayuriayuri112(プロフ) - 続き待ってます!応援してます! (2023年1月11日 5時) (レス) id: 598e63f5be (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 続き楽しみです!! (2022年12月30日 23時) (レス) @page25 id: d6d10578eb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 続きが楽しみです!!応援してます! (2022年12月28日 12時) (レス) id: 5a62b2ac70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:baihua | 作成日時:2022年10月22日 22時

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