検索窓
今日:21 hit、昨日:11 hit、合計:77,980 hit

#27 ページ27

*


「………もっと上手くできるだろう!!」

「どうして言うことを聞けない」

「もっと出力を上げるぞ…」


毎日のように人が、自分が、
機械のように扱われた。


「成功だ!!!!」

「君たちは完成品なのだから」


そう言われて、私たちゲーム開発部競技課のメンバーが人形のように揃えられた。


私の周りはみんな、身体の過剰改造で心までもが壊されていた。


『お母さん、なんで私はここから出られないの?』

いつも私はそう言っていた。

決まって母は

「外の空気を吸うと、体が壊れるよ」

と、言った。


でも、ある時、珍しく父に施設内で出会った時があった。


父は母から私を任せられ、そして私は父にも

『外の世界はどんなとこ?』

と聞いたのだ。


「う〜ん、外の世界は広いぞ」

『広いってどのくらい?』

「そりゃあこの施設が何億個でも作れるぐらいだな!」

『…外に行ったら、私にも、“トモダチ”ってやつ、できる?』

「…なんだ?友達が欲しいのか?」

『ううん、そうじゃないよ…』



「欲しいものがあれば言ってみなさい。
お父さんが頑張ってあげるから」


私にそう言った父。私の人生はここで少しずれ始めていったのだ。


『外の世界に行って、今と違うことをしてみたい』


そう言った私の願いを叶えるために、何年も経ってから父は私を施設の外へ出した。


ゲートの前で、私と父は施設長に見送られた。


「将来、ここに戻ってこい
そしてまた、最強のチームを作るんだ」


そう施設長は私に言った。

この時はなにを言っているかわからなかったから。


父は私を日本に連れて行き、一つの団地の一室を家にしてくれた。


「ほら、ここで好きなことをしろ。なにがしたい?」


またもここで私は変なことを言ったのだ。


『パソコンゲームがしたい』

と。


そういうと父はパソコンとWi-Fiとキーボードとマウスをくれた。


私はこの後、ゲームの世界で生きていくことになる。


齢15歳の頃の話である。

#28→←#26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
584人がお気に入り
設定タグ:cr , 2ETA
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

mobutyan(プロフ) - 久しぶりにこんなにも感動する小説を読みました。忙しいかとは思いますが更新ずっと待ってます。 (8月17日 3時) (レス) @page34 id: 97fa38bdce (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白くて定期的に読み返しています。続きを楽しみにしています! (2023年3月8日 23時) (レス) @page32 id: 87831ffb52 (このIDを非表示/違反報告)
ayuriayuri112(プロフ) - 続き待ってます!応援してます! (2023年1月11日 5時) (レス) id: 598e63f5be (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 続き楽しみです!! (2022年12月30日 23時) (レス) @page25 id: d6d10578eb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 続きが楽しみです!!応援してます! (2022年12月28日 12時) (レス) id: 5a62b2ac70 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:baihua | 作成日時:2022年10月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。