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「………もっと上手くできるだろう!!」
「どうして言うことを聞けない」
「もっと出力を上げるぞ…」
毎日のように人が、自分が、
機械のように扱われた。
「成功だ!!!!」
「君たちは完成品なのだから」
そう言われて、私たちゲーム開発部競技課のメンバーが人形のように揃えられた。
私の周りはみんな、身体の過剰改造で心までもが壊されていた。
『お母さん、なんで私はここから出られないの?』
いつも私はそう言っていた。
決まって母は
「外の空気を吸うと、体が壊れるよ」
と、言った。
でも、ある時、珍しく父に施設内で出会った時があった。
父は母から私を任せられ、そして私は父にも
『外の世界はどんなとこ?』
と聞いたのだ。
「う〜ん、外の世界は広いぞ」
『広いってどのくらい?』
「そりゃあこの施設が何億個でも作れるぐらいだな!」
『…外に行ったら、私にも、“トモダチ”ってやつ、できる?』
「…なんだ?友達が欲しいのか?」
『ううん、そうじゃないよ…』
「欲しいものがあれば言ってみなさい。
お父さんが頑張ってあげるから」
私にそう言った父。私の人生はここで少しずれ始めていったのだ。
『外の世界に行って、今と違うことをしてみたい』
そう言った私の願いを叶えるために、何年も経ってから父は私を施設の外へ出した。
ゲートの前で、私と父は施設長に見送られた。
「将来、ここに戻ってこい
そしてまた、最強のチームを作るんだ」
そう施設長は私に言った。
この時はなにを言っているかわからなかったから。
父は私を日本に連れて行き、一つの団地の一室を家にしてくれた。
「ほら、ここで好きなことをしろ。なにがしたい?」
またもここで私は変なことを言ったのだ。
『パソコンゲームがしたい』
と。
そういうと父はパソコンとWi-Fiとキーボードとマウスをくれた。
私はこの後、ゲームの世界で生きていくことになる。
齢15歳の頃の話である。
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mobutyan(プロフ) - 久しぶりにこんなにも感動する小説を読みました。忙しいかとは思いますが更新ずっと待ってます。 (8月17日 3時) (レス) @page34 id: 97fa38bdce (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白くて定期的に読み返しています。続きを楽しみにしています! (2023年3月8日 23時) (レス) @page32 id: 87831ffb52 (このIDを非表示/違反報告)
ayuriayuri112(プロフ) - 続き待ってます!応援してます! (2023年1月11日 5時) (レス) id: 598e63f5be (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 続き楽しみです!! (2022年12月30日 23時) (レス) @page25 id: d6d10578eb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 続きが楽しみです!!応援してます! (2022年12月28日 12時) (レス) id: 5a62b2ac70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:baihua | 作成日時:2022年10月22日 22時