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とうとうVCTキックオフトーナメントの初戦。
マップバンピックが終わり、ステージに入場しようてしていた。
来年以降の中国チームの本戦参加の決定打にもなる今回の大会。
初戦の相手はZETAというチーム。
まずはここに勝たなければ来年以降のVALORANTチームはなくなるし、
私たちのカラダも後に相当いじられることになるだろう。
しかしここは去年のMASTERSで世界3位になっているらしい。
気は全く抜けない相手だ。
単純なフィジカルももちろん強いが、連携が本当にうまいチーム。
私たちはまずその連携を崩していくことが狙いだ。
そこで重要になってくるのは変な動きを求められている私。
最初のZETAのピックマップはフラクチャー、アタッカーサイド選択をしてキャラピックはネオン。
最初はマップをかけずり回って、サイド交代をしたらラークやプッシュ役を担う。
『ふぅ〜〜…』
「芸者、緊張してるのか?」
『いや、あんまり。そうでもないけど…』
リーダーの皇帝に問いかけられ、否定。
緊張は全くない。どちらかと言うと違和感。
PV撮影の時に話しかけてきたZETAの人。
SugarZ3roとLaz。
世界最強のモク使いとセンチネラー。
なんでそんな人が私に話しかけたんだろう。
しかもAって…私の存在だけしている名前。
大体施設では番号で呼ばれて、チームメイトにも芸者と言われる私。
唯一他の人と違うのは本名があること。
なんで彼らがそれを知ってるのか。ずっと気になった。
「芸者が緊張はしなさそうw だって芸者が失ってそうな感情って緊張じゃない?」
『うるさい官吏』
ムカつく男が私をからかってきて、イラッとしていると
[Laz]
と、アナウンスが鳴り響いた。
選手たちがどんどんと呼ばれる。
最後の1人になってコーチが私の背中を押す。
「結果を残せ」
『はい』
[SugarZ3ro]
私と入場するのはあの男の人か。
[Geisha]
私はすっとステージに立つ。
カメラサービスのため、パンチポーズをして坂を降りる。
降りてきた際、SugarZ3roと目があった。
瞬間、動きが止まる。
すると、ポッケに手を入れていた彼が拳をこっちに伸びしてきた。
グータッチかな、
そう思い私は彼に拳を突きつけた。
私が彼の表情を見ると、とても嬉しそうに優しく笑っていた。
奥にいる彼のチームメイトたちも明るい顔をしている。
私は自然にニマッと笑った。
多分23歳まで記憶が飛んでからはじめての笑顔だった。
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mobutyan(プロフ) - 久しぶりにこんなにも感動する小説を読みました。忙しいかとは思いますが更新ずっと待ってます。 (8月17日 3時) (レス) @page34 id: 97fa38bdce (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白くて定期的に読み返しています。続きを楽しみにしています! (2023年3月8日 23時) (レス) @page32 id: 87831ffb52 (このIDを非表示/違反報告)
ayuriayuri112(プロフ) - 続き待ってます!応援してます! (2023年1月11日 5時) (レス) id: 598e63f5be (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 続き楽しみです!! (2022年12月30日 23時) (レス) @page25 id: d6d10578eb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 続きが楽しみです!!応援してます! (2022年12月28日 12時) (レス) id: 5a62b2ac70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:baihua | 作成日時:2022年10月22日 22時