フラグ87 ページ48
「今日は少し遅いから、敦君、彼女を送っていってくれないか」
声をかけられた敦はふと窓を見る。
すっかり日は暮れているようで、室内の明かりが夕闇色の窓に反射している。
「分かりました」
敦が腰を上げると、ちょうどメディカルチェックを終えたAが医務室から出てきた。
傍らには与謝野女医もいる。
「今回も異常無しだよ、体調も良くなってきてる」
診察書を太宰に手渡して、与謝野はAに向き直った。
「何度も言ってるけど、自分の体への影響を考えて異能を使うンだよ」
あんたの異能は代償が大きいんだからね、と念を押されて、Aははいっ、と返事をした。
「ま、何かあったら妾が治してやるけどね」
ニイッと笑って、与謝野は医務室に戻っていった。
「治してあげるって言われただけなのに......」
その笑みに何故か背筋の寒さを感じたA。
そんなAの様子に、太宰と敦の二人は顔を見合わせた。
「そういえば......」
「Aさんは見たことがないんですね」
え?とAは首を傾げる。
与謝野の異能ももちろん頭に入っている。
異能力の中でも希少な治癒能力。
条件もそれ相応に厳しく、瀕死の重傷しか治療できないとか。
瀕死の重傷''しか''と書いてあるけど、瀕死の重傷を治すことができるのなら充分じゃない?
Aはその表現に少し違和感を感じたことも思い出した。
「世の中には知らない方がいいこともあるのさ」
「え、なんなんですか」
そう言われるとかえって気になる。
Aの好奇心を抑え込むように、太宰は彼女の頭を撫でた。
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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時