フラグ79 ページ40
太宰はいつの間にかしゃきっとしていて、脚を組みながらどこか遠くを眺めている。
「......本当なら自由な生活をすることもできないって、社長と国木田さんが言った時すごく驚きました。
あんなに優しいのにどうして......」
一度話始めると、次々言葉があふれでてくる。
「太宰さん、これが正しいことですか。これが彼女の幸せになりますか」
太宰は目を閉じる。
「正しいこと、幸せ、ねえ」
静かな探偵社に敦の問いかけだけが響く。
他の社員はほとんど出張でいない。
「心配ないよ」
太宰は敦を見て言った。
「敦君がそう思っている限りね」
微笑みながら、君達はよく似ているよと呟いて敦の肩を叩いた。
「正しい行いをするのは難しい。自分にとっての正しさが皆にとっての正しさであるとは限らないからね。それは幸せについても同じことだ。だから人は衝突する。だけど両者の間に信頼があると、その衝突はクラッカーの爆発と変わらない、紙吹雪が飛び出す華やかな衝撃になる」
「えっ......と?」
なにやら悦に入った演説を聞かされて敦は当惑した。
つまり?と視線を投げ掛けると、太宰は楽しそうに微笑んで言った。
「探偵社と、自分と、Aちゃんを信じたまえよ」
煙に巻かれたようだ。言葉の真意を考えているうちに何に悩んでいたのか分からなくなってしまった。
胸に残ったのは、信じるという力強い言葉のみ。
ああ、そうだ。
根本的なことは何も解決していないけど、今は信じることにしよう。この任務が彼女の幸せになることを。
それにきっと、本人に真実を伝えても伝えなくても僕がやることは変わらない。
敦は拳を握った。
「はい。全力でAさんを守ります!」
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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時