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樹Side









あ〜


疲れた。


病院研修が始まって、はや一週間。


疲労はピークに達している。


けど貴重な体験をさせていただいているのは事実で。


結構大きめの病院だから、入院患者さんも外来の方もたくさんの人がこの病院を訪れる。


その人たちの中には、嬉しい理由で訪れてくる人もいるし、悲しい理由や嫌な理由で訪れる人もいて。


その一人一人に寄り添う、医師たちの姿に、改めてすごいな、かっこいい仕事だな、なんて思ったりしながら。


一番いやだなと思った仕事。


それは、患者さんが亡くなってしまったかどうか調べて、ご家族の方に報告しに行くことだ。


患者さんのご家族の中には、長い間本当にお世話になりましたって言ってくれる人もいる。


けれど、それとは反対に、医者のくせに何で助けてやれないんだと言われることがある。


でもそういってくる人の気持ちもわかるから、余計に苦しいんだろうなって思う。


俺も、親が死んだときそんな風に思ったから。


大我が、集中治療室に入れられた時も、同じような気持ちになったから。


自分が医者の卵になってみて気付いた。


その報告を家族にする医師もこんな気持ちになるんだってことが。


俺の場合は、兄ちゃんが横でありがとうございましたって、頭下げてるのをじっと見てただけだけど、一番下の慎太郎なんかは、ぎゃんぎゃん泣いて。


小さいけど中途半端に物事が把握できる歳になってからの出来事だったから。



俺もこの病院で研修を始めてからそういうことを思い出す機会が増えた気がする。


あの時は、兄ちゃんと、しょっちゅ入院する大我と俺と経済力のない、年上三人で、どうやって弟たちを大学まで行かせてやったらいいか、途方に暮れる日々だったけど。


兄ちゃんが働きだして、親戚の人たちの支援もあってここまでこれた。


ほんとにありがたいと思うし、恵まれてると思う。


だから早く一人前になって家計を支えたいそう思うようになった。


休憩時間に、お弁当を食べながらそんなことを思い出していると。


兄ちゃんからメール。



仕事中ゴメン。帰りにちょっと強めの頭痛薬貰ってきてほしい。


ってさ。


了解とだけうって。


また大我が使うのかななんて思う。









明日、自分の弟がここの救急に運ばれるだなんて思いもせずに。

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設定タグ:松村北斗 , 病系 , 家族系   
作品ジャンル:その他
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- ほく松さん» 只今帰りました!ありがとうございます! (2020年2月5日 22時) (レス) id: f8e1fbc4fb (このIDを非表示/違反報告)
ほく松(プロフ) - お疲れ様です!!!おかえりなさい!!!無理せずに頑張ってください!!!この小説大好きです!!! (2020年2月3日 21時) (レス) id: d93c975b57 (このIDを非表示/違反報告)
- ほく松さん» 有難うございます!無事に終わって帰ってくることが出来ました。これからも頑張って更新していきます。どうぞ宜しくお願い致します。 (2020年2月3日 21時) (レス) id: f8e1fbc4fb (このIDを非表示/違反報告)
ほく松(プロフ) - 大学入試頑張ってください!!!応援してます!!!そして小説の更新も楽しみにしてます!!! (2020年1月29日 23時) (レス) id: d93c975b57 (このIDを非表示/違反報告)
- 雛さん» 有難うございます!続きが楽しみといってもらえる小説を書き続けられるように頑張るのでこれからも、宜しくお願い致します。 (2020年1月22日 22時) (レス) id: f8e1fbc4fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月9日 21時

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