窓から覗く ページ34
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飛行機が地面に着く瞬間の衝撃が嫌い。
色んな国に行って、飛行機にも沢山乗ったのにやっぱり慣れない。
だけど、今日はその衝撃でテンションが上がった。
「ねえ、先輩!着きましたよ!」
「ああ、もううるさい。まだ止まってないから静かに座ってろ」
喧嘩ばかりの先輩にそんなことを言われても、今日は優しい気持ちになれる。
最終的には約4ヶ月に及んだスケジュールが全て終わって帰ってきたのだ。
出たときは真冬だったのに、もう5月になろうとしてる。
アシスタントのメンバー達と解散して、私の足は一目散にある場所へ向かった。
外に出ると、初夏の匂いが鼻を掠める。
駐車場に止まっている車の黒い窓ガラスに私の姿が映った。
少し気になって前髪を整える。
その窓が下がった。
「なにしてんの」
「うわぁ!え、ジフナ!」
少し下げた窓の隙間から、久しぶりに見るジフニの少し呆れたような顔が覗く。
数日前、Wi-Fiの使えるホテルに滞在したとき帰国する日付が決まったことをジフニに報告した。
〔迎えに行く〕
帰ってきたのは、そんなメッセージだった。
「誰か乗ってるとか考えないわけ?」
「わージフナー!久しぶりー!」
「聞けよ、人の話」
「わざわざ迎えまで良かったのに。マネージャーさんすみません」
マネージャーさんの運転するその車に、荷物を積んでもらいお礼を言いながら乗り込んだ。
後部座席に座っていたジフニの隣に座る。
「どうだった?」
ジフニが口を開いた。
「ものすごい楽しかった!勉強になったし、色んなものを見れたよ」
「良かったな」
車がゆっくりと動き出す。
「A」
「ん?」
「おかえり」
ジフニが静かに呟いた。
その言葉に自然に笑みがこぼれる。
「ただいま、ジフナ!」
「嬉しそうだな」
「うん、嬉しいんだよ!」
その喜びは久しぶりに故郷に帰ってきたからなのか、それとも…。
何故か顔を背けてしまったジフニが、今どんな表情でいるのかよく分からない。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時