そうやっていつも ページ30
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スンチョリオッパにお礼を言って、ジフニの作業室に向かう。
ああ、また泣いたのバレちゃうなーなんて思いながら、あたたかくなった胸を一度ゆっくりと撫でた。
「ジフナー、久しぶりー」
作業室を開けると、ジフニは一瞬チラっとこちらを見て、またパソコンに向かい合った。
あれ？
何も言われなかった。
いつもだったら絶対に気が付いて、開口一番"なんかあった？"って聞くのに。
「ごめん、忙しいときに」
パソコンに向き合ったままのジフニが私を見ないで言葉を発した。
「ううん…もうあとは準備だけだから」
「…そっか」
うん、と返しつつ、ソファに座る。
ジフニの後ろ姿を少しだけ見上げる形になるこの場所は、私のいつもの定位置。
暫くこの後ろ姿も見れなくなるんだなーと少しだけ心が痛んだ。
「A」
「ん？」
ジフニの椅子が回る。
あーあ、一生会えなくなるわけでもないのに、何でこんな気持ちになるんだろう。
ジフニが立ち上がって、私の隣に腰掛けた。
「え、なに」
「…手を、触っていい？」
「は？！」
定期的に出てくるジフニの妙な空気感、距離感…正直すごく苦手だ。
それも、いつも突然。
真っ直ぐ向けられる気持ちに戸惑ってしまう。
だけど。
…多分今日が出発前に会える最後の日だろう。
ん、と手を差し出すと、一瞬ジフニの動きが止まった。
「なによ」
「いや、やけに素直だなって」
「はぁ？！じゃあいい…」
私が手を引っ込めようとすると、ジフニの手が重なってそれを拒んだ。
「ちょ、ちょっとだけだから！」
「おー」
「今日だけ！特別だからね！」
「はいはい」
少しだけ、ジフニは寂しそうに笑う。
「なぁ、A」
「なに」
「好き」
「あ、んたは！またそうやって！」
そうやって突然。
言わないって言ったことも全部忘れてしまったの？
ジフニの方を向いて抗議しようとしたら、突然握っていた手を引っ張られた。
バランスを崩した私はジフニの胸の中へ入る格好になってしまう。
私の背中にジフニの手が回って、そのままぎゅっと抱きしめられる。
「ごめん、もう言わないから」
耳元で呟かれて心臓が跳ねた。
「今だけ、ごめん」
ジフニの腕に力が入る。
「好きなんだ」
どこか悲しげに聞こえるその声に、私はただ固まるしかなかった。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます（ ; ; ）嬉しいです！読んでくださり、ありがとうございました！！ (2021年4月9日 6時) (
レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉！！ありがとうございます（ ; ; ）とっても嬉しいです！ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました！ (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます！文庫本無限とは！このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sani
| 作成日時：2018年6月22日 19時
