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渦巻く不安 ページ26

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「Aの夢は?」

「え?」


思っていた言葉とは違って、思わず聞き返す。


「夢は、アーティストのMVをつくることだったよな?」

「うん、でもそれはもう叶って…」

「本当に?」


ジフニの瞳が私を刺して痛い。


何も喋れない私に、ジフニが言葉を続けた。


「高校のときのAは、もっと大きな夢を持ってたと思うけど」

「それは…」

「それとも何?俺に引き止めてほしいわけ?」



自分の心を読まれたようで、恥ずかしくて思わず顔に熱が集まる。



「そ、そんなわけ…」

「好きだからって、引き止めたりしない」


ついこの間、言わないって言ったくせに…

簡単に私への気持ちを言ってのけるジフニにどうしたって瞳が泳いでしまう。

そのまま、ジフニの視線から逃れるように顔を伏せた。



「…Aはどうしたいの」

「私は…」


少しだけ間をおいて、また口を開く。


「…行ってみたい、けど」


ゆっくりと顔を上げてジフニを見る。



次の言葉を発する前に、驚いて言葉が止まってしまった。



…ジフニが今まで見たことないくらい、すごく優しい顔をしていたから。



「けど?」


心臓が一回止まってしまったみたいだった。




ジフニの言葉で、我に返って言葉を続ける。


「……けど、不安で…もし上手くいかなかったら?そこで失敗したら?自分に才能がないって分かっちゃったら?今いる場所にすら戻れなくなったら?」


現状にもそれなりに満足してる。



行くのは勉強にはなるって、力になるって分かってる。


だけど私の技術やセンスがどんなものなのか、通用するのか分かってしまう瞬間もあるだろう。


甘い世界じゃないって分かってるから。




もしダメだったとして、今の自分の立ち位置にまた戻って来られるだろうか?



居場所がなくなってしまうのが怖い。




「なんだよ、Aらしくないな」



目の前の人は易々と、私の気持ちを笑い飛ばした。



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設定タグ:SEVENTEEN , セブチ , ウジ   
作品ジャンル:恋愛
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時

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