白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ45)

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____そんな！！

「っリーマス！リーマス！！！」

呪文が解けた、と言うことは__彼の魂がもうここに存在していない事を意味していた。

それを理解していたとしてもAは倒れ込んだリーマスに駆け寄らずにはいられなかった。

「次はお前だ__〝半人狼〟！」

ドロホフが杖を上げたが、それよりもAの方が一歩早かった。

再び無言呪文での掛け合いになったが、今度はAの方が僅かに優勢となった。

Aが掛けた〝停止〟の呪文によって、ドロホフの動きがピシリと止まった。

渡り廊下のすぐそばには、魔法を掛け合う怒号の声や、粉塵が舞う音、何かが壊れ崩れる音が聞こえ、見える景色の中にヴォルデモート側へと寝返った巨人、巨大グモ、吸魂鬼、人狼が攻め合っているのが見える。

___こんなこと、許すわけにはいかない！

Aが固まったままのドロホフに次の一撃を放とうとしたまさにその時だった。再び、あの甲高い冷たい声がした。あまりに近かったのでヴォルデモートがすぐ側に居るのではと錯覚する様な気持ちになった。

【お前たちは勇敢に戦った。俺様は勇敢さを讃える事を知っている__しかしお前たちは数多くの死傷者を出した。自分にまだ抵抗を続けるなら1人また1人と全員が死ぬ事になる。そのような事は望まぬ。魔法族の血が一滴でも流されるのは損失であり浪費だ】

【俺様は慈悲深い。我が勢力を即時撤退するように命じる。1時間やろう。死者を尊厳を以って弔え__傷ついた者の手当をするのだ】

要するに、一時休戦だった__

しかし、ヴォルデモートの言葉はそれでは終わらない。

【ハリー・ポッター。貴様は俺様に立ち向かう所か友人たちが自分のために死ぬ事を許した。これから1時間の間は「禁じられた森」で待ってやる。もしもこの1時間の間に降参して出て来なかったならば戦いを再開する】

____それは、ハリーがヴォルデモートに命を捧げなければならない事を示していた。

Aが恐ろしさに震えていると、突然現れた魔女によってドロホフの呪文が解かれてしまった。

「ハッ、〝半人狼〟ちゃん、あんたは自分の幸運に感謝するんだね」

それはベラトリックス・レストレンジだった。
彼女は、Aのすぐ側に横たわるリーマスを見つけると、ニヤリと笑った。

「あらあらぁ、旦那〝も〟死んじゃったんだねぇ」

____どう言う事？

その意味を確認する間も無く、2人の〝死喰い人〟は耳障りな笑い声を上げて、自らの主人の元へと姿を消した。