白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ20)

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クリスマス休暇は、殆どの生徒達が自分の家へ帰る為にと列を成した。学校での恐ろしい日々に、早くここから逃れたいと誰もが感じている様だった。

孤児院育ちのAには帰る所や、守ってくれる身近な大人はない。

騎士団のメンバーに構ってもらうことも危険だ。
ウィーズリー家や、身籠ったドーラのいるルーピン家に行くことは最初から選択肢に無かったAは迷うことなく居残りの名簿に名前を入れた。

例年よりも、本当に数える程度の人数しかそこに名前を書いていなかった。

「何かあったら、コインを使おう」

駅に向かう馬車に乗り込む友人達を見送る為に生徒達の列が出来ている校外へ足を踏み入れた時、ネビルにそう言われてAは強く頷いた。

「A、無茶しちゃダメだよ」

「大丈夫よ。ルーナも、みんなも、気を付けて」

自分を心配してくれたルーナと別れの挨拶の代わりに抱き合って、Aは友人達を乗せた馬車を見送った。未だに抵抗を見せ続けるゼノフィウスの態度に、カロー兄妹はルーナに対してとても強い嫌悪感を露わにしていたのだ。

ホグワーツの外は安全では無い__ルーナの身に何か起こってしまいそうな嫌な予感がした為幾度となくそれを伝えたが、彼女は今朝もAの忠告をやんわりと振り切って家へ戻る事を選んだのだ。

___みんなが無事でありますように

しかし、そう願ったAの元に、数時間と立たない内に悪い知らせが舞い込んできた。

ブワッと、一気に熱くなった〝D.A〟の金貨を取り出せば___信じ難いメッセージが浮かび上がっていた。

【汽車が走り始めた時に、〝死喰い人〟が数人現れてルーナを誘拐した！】

それはネビルからのメッセージだった。

あまりのことに動揺が走ったAは思わず金貨を取り落としそうになったが、ギュッと持ち直して直ぐにメッセージを入れ直した。

【他のみんなは無事？】

ルーナ以外の友人達の安否を尋ねると、しばらくしてからまた返事が来た。

【みんなで止めようとしたんだ。でも敵わなかった__ごめん。僕のせいだ。ジニーもコリンもデニスも怪我はしているけど、たいしたことじゃない】

【すぐに先生方に伝えるわ】

Aはそうメッセージを入れると、マグゴナガル先生を探しに急いで校内を走った。

_____ルーナ！！

自分の〝勘〟はよく当たるのに、何故もっと強く彼女を引き止めなかったのか。Aは後悔の波に今にも飲み込まれてしまいそうな想いだった。