白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ10)

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次々に流れてきたリーマス・ルーピンの〝声〟に、Aは初めて感じた彼への心地良さはもう全く感じなかった___早く、彼から離れたいとさえ思った。

セブルスはAにチラリ、と視線を送るとリーマス・ルーピンに辛く当たる様に尚も続けた。

「このことは、ダンブルドアにも伝えている___もしもの際、学校内での対策も万全に準備されることから入学に関しては心配の必要はない」

「__入学、、それなら、必要な物やこれからしなければならない事があるだろう？私が彼女の＿」

リーマス・ルーピンは何かを提案しようとしたが、セブルスは聞く耳を一切持たなかった。

「ルーピン、Aとの事実上の親子関係は知らせたが、我が輩は〝後見人〟の立場を破棄するつもりは全くない___これからも彼女の〝保護者〟は我が輩であり、決してお前ではない。話は終わりだ__ご足労おかけしましたな」

まるで、『さっさと帰れ』と言わんばかりに話を打ち切ったセブルスに彼も反抗することなく部屋の扉へと足を進めた。

「____すまない」

帰り際にそう言われたが、何に対してかは分からなかった。

父親としての責務を果たせないことなのか、それとも〝人狼の血〟を引き継がせてしまったことなのか。

しかし、これ以上彼を後悔させて、またあの〝声〟を聞きたく無かった。

「私は大丈夫___」

そう声を掛けたが、何故だか彼は余計に顔を悲しそうに歪ませただけだった。

リーマス・ルーピンが去った後、セブルスは先ほどよりは穏やかな口調でこれからの予定を話してくれた。

ホグワーツへの入学は9月1日であるから、約1ヶ月はこの部屋で過ごすこと、明日はホグワーツから別の先生が来てAを〝ダイアゴン横丁〟という魔法界の街に連れて行ってくれ、学用品を揃える様だ。

「セブルスは、私が凶暴で野蛮な血を受け継いだ__穢れた者だと思う？」

何故かリーマス・ルーピンに必要以上に辛く当たっていたセブルスの態度が気になり、Aは彼が去る前にそう尋ねた。

彼がかなり〝人狼〟に苦手意識を持っている様に感じたのだ。

しかし、セブルスは首を横に振った。

「AはAだ。君には優秀な魔女の血が多く流れているのだ___しかし、〝半人狼〟であることは公にするのは懸命でない。それ程、生優しい世界ではないのだ」

セブルスの認めてくれる言葉が嬉しく思ったが、やはり魔法界についてもっとよく勉強するべきなのだなと強く感じた瞬間だった。