白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ50)

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「___ようやく、目を覚ましたかの」

Aは暖かい感触を掌に感じそっと目を開けた___そこには優しく微笑むダンブルドアが居た。

___どうやら医務室にいた様だ。

ぼんやりとした頭でそう判断すると段々と頭が冴えてきて、倒れる直前に何があったかを思い出し、ベッドから慌てて身体を起こした。

「ダンブルドア先生、あの___」

「ハリーやジニーは無事じゃ。石になった者も皆、元通りとなり寮に帰った。君達の勇敢な行いによって、ホグワーツは再び安全を取り戻すことが出来たのじゃよ」

「___良かった___私、どのくらい気を失っていたのでしょうか」

「1週間は眠ってたかの。ぁあ、心配するでない、お祝いに〝試験〟は無しとなったのじゃ」

Aは焦った様な表情を見せたが、ダンブルドアは安心するようにそう告げてくれた。

あの日、血を流していたクレヴァはマダムからの治療を受けてすっかり元気になった様だ。Aが医務室に缶詰めだった間、ルーナが世話をしてくれたと聞き、ホッと息を付いた。

「__君はどうやら、自分の〝感覚〟を上手く使うことが出来たようじゃな」

どうやって〝秘密の部屋〟に辿り着いたのかをAが説明すると、ダンブルドアは納得した様に頷いた。

「先生、ヴォルデモートは私が〝何者か〟なのをとても気にしていました__」

「奴は才能が優れた者には強い興味を持つ__ジニーに取り憑いている間、君の優秀な感覚に気が付いた。わしの考察が正しければ君は嗅覚・聴覚だけでなく〝開心術〟と〝閉心術〟の才能も大いにある。誰かの心の声が聞こえるのはそれ故じゃ。そこにも彼は興味を持ったのだろう。さらに君は__彼と生い立ちが少々似ておった」

「母親が未婚で、孤児院育ち__」

「そうじゃ。しかし、僅かに違う所がある___彼の母親は〝魔法〟を使って父親の心を我が物にし彼を産んだ。結婚こそしておったが、父親からの真の愛は全く無かったのじゃ___だが、君の母はリーマスを心から愛しておったし、彼もまた同じ様に彼女を愛しておった。君が産まれたことは長く知ることが出来なかったが、2人の子だと聞けば納得がいく程、2人の愛は確かだった」

「リーマス・ルーピンは、母を愛していた___」

ダンブルドアの言葉をAは復唱するかの様に呟いた。

「夏季休暇中に、彼とゆっくり話をするが良い。彼も、君に会うのを心待ちにしているはずじゃよ」

___早く会いたい。

優しく微笑むリーマスの顔が思い浮かんだ。