白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ44)

今日:74 hit、昨日:7 hit、合計:175,904 hit

40 ページ44

3月に入り、ホグワーツはイースター休暇となった。一年生達は多くの課題と向き合わなければならず、Aも〝秘密の部屋〟どころではなくなった。

山の様な課題を進めながら、Aはセブルスの言う通りだと思った。いくら学年トップの成績を貰えているとはいえ、まだ魔法のことを知ったばかりの子どもの自分に〝バジリスク〟を止めることは出来ない___マンドレイク薬の完成を待ち、犯人が判明すれば先生方が解決してくれるはずだ。

「ハリー！」

イースター休暇の最中、Aはようやくハリーの姿を見つける事が出来た。一緒に行動していたルーナに声を掛けてから急いで駆け寄ると、ハリーと側にいたロン・ウィーズリーが驚いた様な顔をして振り向いた。

「久しぶりだね」

ハリーが、チラリ、とAの耳に揺れるピアスを見つけた。ロンも同じ様にしてそれを見て眉を顰めた。どうやらクリスマスの時のドラコとのやりとりを思い出した様だった。

「君、マルフォイと仲が良いみたいだけど__」
「ええ。あ、初めましてかしら、A・グレイディよ。ジニーのお兄さんのロンよね、よろしく」

ロンの突っ込みは今はどうでも良かった。少々適当に返事を返したAに対してロンは更に眉に力を込めた。ハリーは少し可笑しそうに肩をすくめた。

「ところで、どうしたの？急いで来てくれたみたいだけど」

「そう、ハーマイオニーの事なの！私、直前まで彼女と図書館で〝秘密の部屋〟に付いて調べていて__」

「ハーマイオニーは石になったのに、君は助かったのかい？」

ロンの棘のある言い方にAは少しムッとなりながらも続けた。

「彼女、私に待つ様に言ってペネロピーを追いかけて図書室を出る時、調べていた文献のページを破って持った行ったんだけど、何処にあるかわかる？」

これにはハリーもロンも首を横に振った。

「それで、何か分かったの？」
「それなんだけどね___」

話を続けようとしたAは急に後ろに手を引かれ、驚きのあまり『わっ』と大きな声を出してしまった。

「A、そんな所で何やってるんだ__こっち来い」

Aの手を引いたのはドラコだった__彼はとても不機嫌そうな顔をしていて、理由は解らないが怒っているのが見るからに分かった。

「待って、私、ハリーに大切な話があって__」
「ポッター達なんかと連むな。君の価値が下がる」

話の途中で引きずられる様にして遠ざかるAをハリー達が唖然とした表情で見守っていた。