白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ5)

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新しい世界の始まり・01 ページ5

Aに転機が訪れたのは、11歳の誕生日だった。

毎年、誕生日ごとに祝いに来てくれるセブルスは、Aのいる孤児院に現れると早々にいつもの中庭で、転機となる一言を告げた。

「君の両親は魔法使いであり__君もその力を受け継いでいることから、9月からホグワーツ魔法魔術学校に通うことが許可された」

「ホグワーツ、まほう、？」
「ホグワーツ魔法魔術学校だ___君のご両親が通っていた場所であり____我輩の、職場でもある」

パッと渡された封筒にはAの名前が記入されている。ピリピリと、封を切ると、セブルスの信じられない言葉を決定付ける文章が綴られていた。

＿＿＿＿

ホグワーツ魔法魔術学校
校長アルバス・ダンブルドア
マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、
最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員

親愛なるグレイディ殿

このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。
新学期は九月一日に始まります。

敬具

副校長ミネルバ・マクゴナガル

＿＿＿＿

なんと、数年前セブルスが連れてきた優しそうな老人＿＿アルバス・ダンブルドアは魔法魔術学校というところの校長であり、セブルスはそこで教授を務めているというのだ。

突然のことに、驚きはあったが、それでもAにとってその知らせは今までの不安を消し去ってくれるものだった。

「それじゃあ、今まで、突然突風が吹いたり、物が消えたり__誰かの考えていることがわかったりしていたことは___」

「それらは全て、君の魔法の力だ」

セブルスの肯定する言葉に、ホッと一息を吐きながらもう１つ、疑問だった自分の身体の不調についても尋ねた。

「あの、私___決まって満月の夜に体調が優れなくなるの___これも何か魔法の力が関係しているの？」

彼女のこの言葉にセブルスは眉を顰めた。

「それに関しては___また別のものである。君にはこれから生い立ちを知る時間と、ホグワーツへの入学の準備をする時間が必要だ。シスターにはもう話は付けている。今すぐに、荷物をまとめなさい」

その後、荷物をまとめたAは、11年間お世話になったシスター達に別れを告げて、別れを惜しむ間も、与えずサッサと歩き出したセブルスを追いかけながらロンドンの街中を歩いて行った。

1992年8月

___Aにとっての新しい世界が始まった。