白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ37)

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マグル生まれのコリンが襲われた時、数名の純血主義者のスリザリン生がバカにした様な声を掛けてきたが、先日〝ゴースト〟ですら襲われてしまうと解り、皆口を閉ざして恐怖に震えていた。ジニーとはあれ以来、避けられてしまいまともな会話も出来ていない。

クリスマス休暇はほとんどの生徒が学校に残ることを恐れて、荷造りをし自分達の家へと戻っていった。

すっかり静まり返ったホグワーツ城の中を1人で歩き、Aはダンブルドアの居る校長室へと向かった。

「レモンキャンディー」

事前にセブルスに教えてもらった合言葉を囁くと、上へと向かう螺旋階段が現れた。

結局、セブルスにももう一度異臭のことを伝え、前回は言わなかった〝ズルズル〟という音のことも伝えると彼は黙りこくって眉間に皺を寄せ、口を開いたかと思うと『ダンブルドアの元へ行け』と告げた。

「そろそろ来る頃と思っておったよA__おかけなさい__ミルクティーでよかろうか？」

「ありがとうございます」

Aがダンブルドアに指定されたソファに座ると、ふわふわとマグカップがこちらに飛んできた。ダージリンを使った甘めの暖かいミルクティーの香りがする。

「君なら茶葉の香りもすぐに解るかの」
「ダージリン、ですね」
「お見事じゃ！暖かいうちにお飲みなさい」

ニコニコと笑うダンブルドアを見ると自然と緊張も溶けてきた。Aが紅茶に口を付けると、ダンブルドアは2人だけの空間なのに秘密話をするかのようにそっと口を開いた。

「セブルスからだいたいは聞いておる__異臭と、不吉な音が聞こえることがあると__しかも三度、どれも被害者が出た日じゃった__何者の姿も見ておらんのだな？」

「はい__先生、私、やっぱり何か感じてはいけないものを感じたのでしょうか」

ダンブルドアは微笑み、安心させる様に座っている彼女の手を取った。

「君は他者が〝感じえないもの〟を感じることが出来る__ロキにも勘の鋭さはあったがな___その勘よりも確かなものじゃ。感覚を通して何かを感じることが出来るのは、願っても手に入れることは難しい素晴らしい才能じゃ」

「恐れることはない。君はその力を信じ、大切にしなさい___感覚を信じ、知識と共にその力を上手く使う事で、多くの問題を解決する事ができるじゃろう」

___この力を上手く使えば、ジニーの不安も取ってあげられるかもしれない。

何故だかAには青ざめて震える彼女の姿が思い浮かんだ。