白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ35)

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「___君はどこか具合が悪いの？」

やはり、ハリーはAが医務室にいる理由が気になった様だった。

「産まれつきで身体が弱いの__定期的に体調を崩してしまうから、よくマダムにお世話になってるわ」

「そう__」

必要以上に聞かれてしまわないかどうか不安だったが、ハリーはあまり詮索するのは失礼だと感じたのか話題を変えてくれた。

「君、さっきクィディッチのことを聞いてきたけど見たことないの？__その、マグル生まれ？」

「母は魔女だからマグル生まれではないけど、私、孤児院育ちなの__入学する直前までは〝魔法界〟が存在するなんて思ってなかった」

母とは生き別れていること、彼女は未婚だったから〝父親〟はおらず、11歳の誕生日に魔女である事実を知ったのだと言うと、Aの言葉にハリーは驚いた様だったが、『僕もだ』と呟いた。

___どうやら、ハリー・ポッターも似た様な境遇だったそうだ。

魔法界では〝生き残った男の子〟と話題であるものの、彼はその評価から切り離されたマグルの世界で意地悪な親戚の元で育てられた。

両親のことを知らずに育ったこと、誕生日に魔法界を知ったこと、〝例のあの人〟の時代に親を失ったこと___いくつかの共通点がAとハリーに親近感を与えた。

____ドラコが言っているよりも、ずっと良い人じゃない。

マダムに『いつまでお喋りするおつもりですか！ここは談話室ではありませんよ』とピシャリと言われ、ようやくその口を止めて互いのベッドで静かに過ごした。

今夜は満月だ。9月のあの時の様な発作は起こらず、静かに眠り込んでいたAだったが、誰かの話し声が聞こえてパチリと目を覚ました。

「ハリー？誰かいるの？」

カーテンを僅かに開けてAがそう囁くと、ハリーは慌てた表情をして見せたが、そこにはハリー以外誰もいなかった。

「ご、ごめん起こしちゃった？」

何をやっていたのか、と聞こうとした時廊下からマダムの話声と複数人の足音が聞こえてきた。

Aとハリーは慌ててベッドに潜り込み、息を潜めたが、医務室に入ってきたのは何かを運んできた先生方だった。

チラリ、とそちらを盗み見ると石の様に固まった男子生徒___Aの友達の、コリンだった。

「___アルバス」

不安そうなマクゴナガル先生を宥めながら、ダンブルドアが口を開いた。

「生徒に危険が迫っておる___秘密の部屋が再び開かれたのじゃ」

Aとハリーは思わず顔を見合わせた。