白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ32)

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あまりにも生徒達が〝秘密の部屋〟への興味を示すので、A達一年生が授業の教室に入ると、痺れを切らしたビンズ先生が魔法史学の中に伝わるホグワーツの歴史を教えてくれた。

「伝説によれば、スリザリンは『秘密の部屋』を密封し、この学校に彼の真の後継者が現れるときまで、誰もその部屋を開けることができないようにした。その後継者のみが『秘密の部屋』の封印を解き、その中の〝恐怖〟を解き放ち、それを用いてこの学校から魔法を学ぶに相応しからざる者を追放するという__」

「しかしながら、スリザリンの死後何世紀にもわたって、多くの校長が部屋を見つけるために学校を捜索しましたが、どれも成功せず、部屋は多くの人によって単なる伝説として却下されています___」

いつも子守唄の様なビンズ先生の授業も、この時ばかりは全生徒が顔を上げて聞き入っていた。

〝秘密の部屋〟の事件でほとんどの生徒が気味悪がっている中___ドラコだけは面白がっていた。

「父上が言っていたが50年前にも、〝秘密の部屋〟が開かれた時がある」

「そうなの？」

2回目となるドラコとの飛行訓練の際に、彼がそう告げた。

ビンズ先生も口を閉ざしたその事実をドラコが知っていたことに驚きながらも、Aは彼の話に耳を傾けた。

「前は、同じ様に石化する騒動もあったが、生徒が1人、犠牲になったらしい___僕としてはグレンジャーだといいなぁ」

ハーマイオニー・グレンジャーはAでも知っている1学年上のグリフィンドール生だ。ハリー・ポッターと仲が良く、マグル生まれで成績優秀というところがドラコの癪に触るらしい。

猫好きで自身も猫をペットにしているAからしたらミセスノリスが襲われてしまったことでも胸が痛いのに__フィルチのことは好きでは無いが、ちょっぴり可哀想だとも思える___その事を馬鹿にしたように笑うドラコに少しばかりムッとしたところだった。
そこへ、ハーマイオニーが襲われればいいなどと比喩する彼がとても不謹慎に感じた。

ドラコはAがムカムカとしていることに気が付きもせず、寮へ戻る身支度を済ませ、にこやかに告げた。

「明日は、スリザリン対グリフィンドールの試合で僕の初戦だ__もちろん応援に来てくれるだろ？」

「ごめんなさい、明日は医務室に行く日なの。今日はありがとう__試合頑張って」

〝ごめんなさい〟や〝ありがとう〟という割にツンとしたAが去った行くのを見て、ドラコは首を傾げた。