白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ30)

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ハロウィンが近付いた頃、例の症状によって医務室通いとなったAは、近頃感じる違和感をマダムとセブルスに相談していた。

「__廊下が生臭いと、、？」

先月から行われていたAへの問診で今回、彼女が異臭を度々感じることを報告してきたのでセブルスは首を傾げた。

「__一緒に行動しているルーナ・ラブグッドは何も感じないと言っていたの。だから、私にしか感じないのかなと思って___もちろん、食事の香りもしっかりと解るわ。紅茶の茶葉の種類も分かるくらいだもの」

「なるほど」

「リーマスはその様なことを私に一度も言って来ませんでしたよ__これは彼女特有のものでは？」

「Aの魔女としての力が助長しているのかもしれん___生臭さの原因はわからんが、大した事はないだろう」

Aの嗅覚の鋭さは、〝人狼〟であるリーマス・ルーピンの人間時には備わっていないものの様だった。

そして、ホグワーツは古城であるからという理由で違和感である生臭さの原因究明には至らなかった。

しかし、ハロウィン当日___満月の夜を迎えた日に医務室へ向かおうとしたAは再び違和感を感じた。

___下水道の生臭い匂い。
___ズリズリと何かが這う様な音。

とてつも無く寒気がした。

Aが廊下の曲がり角に差し掛かると、奥の方に何かがぶら下がっていて、Aとは反対側から歩いてきた誰かが立ち止まって話す声が聞こえた。

「ミセスノリスだ！」
「見て__〝秘密の部屋は開かれた。継承者の敵よ、心せよ〟__これは一体どういう意味なんだろう」

男の子がそう言い切った時に、パチリと目があった。
Aが彼らと、ぶら下がるミセスノリスと、壁の文字を見比べて顔を真っ青にさせると、彼は慌てた様に口を開いた。

「違う、僕じゃ無い___」

Aにそう声を掛けてきたのはハリー・ポッターだった。彼もAとほとんど同じタイミングでここに辿り着いたのを知っていたのだから、Aもそれは理解しているつもりだった。

しかし、授業を終えた生徒や先生達がザワザワと歩きながらAやハリー達の後ろに集まり始めた。

「ポッター！お前がやったんだ！！！殺してやる！！」

ミセスノリスの姿を見たフィルチがそう叫んだ。

「違う、僕は指一本触れていない！」

ハリーの叫びも虚しく、周りは不審な目を彼に向け始めた。

「継承者の敵よ心せよ___次はお前達だ〝穢れた血〟め！」

生徒達の輪の中から、ドラコがそう言い放った声が響いた。