白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ14)

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「ぁあ！これはこれは＿_フリットウィック先生ではありませんか」

Aがマダムに支払いを済ませていると、彼女の隣に立つ先生に気が付いた赤毛の女の子の父親が親しげに声を掛けてきた。

「アーサー！モリー！元気にしていたかね___そうか、今年から、末の子が入学か」

「遂に家の中が寂しくなりますわ___先生がこちらにいると言うことは、このお嬢さんも、今年からホグワーツかしら？」

女の子の母親がそう尋ねてきたのでAは勘定を済ませて急いで頷いた。

「A・グレイディです」
「私も今年から一年生よ、ジニー・ウィーズリー」

女の子と握手を交わしていると、彼女の両親は驚いた様な表情でAとフリットウィック先生を交互に見た。

「彼女は、今、グレイディと名乗りましたか？___まさか、ロキの血縁関係で？」

「ロキは、未婚でありながら、1人で娘を産んでいたのだよ、アーサー。彼女はロキの娘だ。私もつい先日知ったばかりではあるが、面影がロキそのものだ」

先生の言葉に、モリーは悲しそうに眉を寄せた。

「ええ、ええ、本当__ロキに___そっくりだわ」

彼らは、Aと握手をしながら自己紹介をしてくれた。父親がアーサー・ウィーズリー、母親がモリー・ウィーズリー。どうやら、ジニーの兄達が幼い頃、Aの母親とウィーズリー家は交流を深める中であったそうだ。

「何か困ったことがあれば、いつでも言ってちょうだい」

「__ありがとうこざいます。ジニーも、また」

店を出る頃にそう告げたモリーの目は、今にも涙が溢れそうな程揺れていた。ジニーは母親を心配そうにしながらも、笑顔でAに手を振ってくれた。

その後は、魔法薬学という授業の調合に必要な大鍋を買いに行ったり、羽根ペン、インク、羊皮紙___細かい物などを買っていった。

一番重たい教科書は最後に回したのだが、書店を前にしたところで先生が困った様な顔をした。

「__なんと、いつも以上に混んでいるな」

今日は書店で有名な著名人のサイン会がある様だった。多くの魔女が色めき立っており、店内は軽くパニック状態だ。

小柄なフリットウィック先生と、ダイアゴン横丁初心者のAにはこの大勢を掻き分けながら指定の教科書を探すのは至難の業の様に思えた。

「後日また自分でここに寄って教科書を買います」

「___そうしてくれるとありがたい」

2人は書店に寄るのを諦め、この日はそれぞれの帰路に着くことにした。