白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ11)

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〝漏れ鍋〟で初めて迎えた朝は、とても不思議な物だった。

昨日は大分と疲れていた為、自室で夕食を食べ早々にシャワーを済ませて寝てしまったので、これからお世話になる店内をゆっくりと見回したりはしなかったのだが、寝泊まりしている部屋から一階へ降りるとこれまでの知っていたところとは全く違う別世界が広がっていた。

朝食の準備に忙しなく動く店主を手伝うように、鍋やフライパン、ヤカンが空中で勝手に動いているし、カウンターやテーブル席に座るどの人も、これまでロンドンでは見たことのない___でも、よく考えてみると、もしかしたら、すれ違ったことはあるかもしれないが___いかにも〝魔女〟や〝魔法使い〟を思わせる様な服装の人達がひしめき合っていた。

「ぁあ、203号室のグレイディ嬢ですね__こちらの席が空いております」

店主に言われてAがその椅子に腰掛けると、あっという間にモーニングプレートと紅茶が飛んで来たのでビックリして椅子から落ちそうになった。

Aが朝食を済ませ、ホグワーツから来るという先生を待つ為に、2杯目の紅茶を飲んで座りながら足をプラプラさせていると、「君がミス・グレイディだね？」と声が聞こえてきた。

Aがその声に振り向くと、そこには不思議な風貌の人物が立っていた。

「私の姿が珍しいかな？小鬼と魔法使いの血が入っている___フィリウス・フリットウィックだ。ホグワーツ魔法魔術学校では呪文学を教えている。レイブンクロー寮の寮監でもある」

「A・グレイディです__今日はよろしくお願いします」

フリットウィック先生は、半小鬼であり、半魔法使いであった___彼はとても優しく微笑み懐かしむ様に口を開いた。

「君はお母さんそっくりだね___ロキはレイブンクロー寮の生徒だったよ。実に優秀で、友達想いで自慢の生徒だった」

セブルス以外から聞く、母親の話にAはとても嬉しく感じた。