顔が良ければ全て良しだと思うなよ！！ ２【降谷零/安室透】

after 10：カサブランカ ページ44

｢はぁ！？FBIが日本で勝手に捜査してるだと！？｣


電話に向かって怒鳴り散らす彼の声を聞きながら、あ〜またか〜と静かに思いました。

今日も今日とて本庁で後始末の手伝いをさせられてる私はパソコンに向かいながらため息をつく。

ブチッと通話を切った降谷さんは私の隣の椅子に腰を下ろした。


『またあの人ですか』

｢またあいつだ｣

『懲りないですね』

｢まったくだ｣


彼は露骨に舌打ちをして、机に頬杖をつく。

そして腹立たしげにその名を口にした。


｢くっそ赤井の野郎！！｣

『だから私の苗字をそんなに恨めしそうに呼ばないで下さいって』


あれ、この会話前もやったな。来葉峠のあとあたりで。

降谷さんは気づいてるのか気づいてないのか、あの時と同じセリフを言う。


｢お前その苗字変えろよ、降谷にしろ｣

『あはは、出た出たプロポーズネタ』


私はパソコンから目を離さずに笑いながら答えた。



『もう今じゃ冗談に聞こえないんだからやめてくださいよ〜』

｢冗談で言ってないからな｣

『ふふ、何言って………はい？』


思わず流しかけて、ワンテンポ遅れてピタリと手を止めた。

…あれ、聞き間違いか？

今冗談じゃないとか言わなかっただろうか。

プロポーズが冗談じゃないって、それじゃまさか…


目を見開いたまま隣の降谷さんを見る。

彼はいつの間にか私の方を見て微笑んでいた。

アクアマリンの瞳と視線が絡まる。

息が止まりそうになった。


『……本気ですか』

｢本気だ｣

『…嘘でしょう？』

｢嘘なわけないだろ｣


降谷さんがポケットの中から小さな箱を取り出す。

開かれた中には、ブルーダイヤモンドがはめ込まれたシルバーのリング。

彼はそれを、私の右手の薬指にはめた。


『…バカ』


零れた言葉に、降谷さんはぷはっと吹き出した。


｢こんな時にも失礼なやつだな｣

『だって、ここどこだと思ってるんですか』

｢夜景の前でロマンチックに言えばよかったか？｣

『そうじゃないですけど、』

｢今更ムードなんていいだろ。今言いたかったんだ｣


彼が私の手を取ってキスをする。

そして顔を上げて、真っ直ぐに私の目を見た。

その顔は本当に幸せそうで、まるでお日様の光みたいで。

私はずっと、それが大好きで。



｢結婚しよう｣


そう言った降谷さんに私は涙が溢れそうになって、それでも笑って答えた。


『もう、しょうがないなぁ降谷さんは』

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