062:ヒガンバナ ページ17
コナンside
『…景光さんはね、降谷さんの幼馴染で私の上司。
私は2人の潜入の手助けをしてたの』
Aさんはしばらく黙っていたものの、やがてぽつりぽつりと話し始めた。
幼馴染ということまでは赤井さんも知らなかったのだろうか。表情に少し驚きが見える。
『私の左手はもうあの頃には動いてなかったけど、それでも情報収集くらいは出来るしね。
有益な情報を掴めたらその2人に流してたの』
ってことは、スコッチが死んだのはAさんが撃たれたあとか…
『でもあの日の少し前、景光さんにNOCの疑いがかけられた。確かな証拠がなかったからその時点で命を狙われるようなことはなかったけどね』
彼女はそこで息をついて、それなのに、と零す。
俯いた表情は辛そうに歪んでいた。
『私のせいでバレた』
「……」
『私がミスしたせいで組織に公安だとバレて、自決した』
息を呑んだ。
なにか言おうと口を開いて、結局言葉にならずにまた閉ざしてしまう。
彼女は自嘲するように乾いた笑いを漏らして続けた。
『簡単な罠だったの。
偽の情報を掴まされた。
スコッチを粛清するって情報。
日付はちょうどその日。
焦った私はよく確かめもせずにすぐに連絡を取ろうとした』
強気に振舞ってはいるけど、シーツを掴む右手は震えている。
『潜入捜査官との通話は公衆電話か携帯。
本庁の回線は盗聴されてる危険性があるからね。
こんなの基本中の基本。
でもその日は携帯の充電が切れてて…』
声が消える。かすかに震えた吐息だけが残る。
Aさんは、もう見てるのも辛いくらい強がった笑顔を浮かべた。
『…もうわかるでしょ?
通話を聞かれて、公安である証拠を掴まれて、そこの男の目の前で携帯と一緒に心臓を撃ち抜いた』
…だから赤井さんは声を聞いて全てが繋がったって…
赤井さんもその音声を聞いたのだ。そしてAさんの声を覚えていた。
偶然あった時にスコッチの通話相手だと気づいて、ここで何かを話した。
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びびか(プロフ) - この作品の作り込みが凄すぎて本当に好きです。。素敵な作品に出会えて良かったです!ありがとうございました! (2023年3月27日 20時) (レス) @page32 id: b527a1d6e3 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 想像するだけでこっちが照れてくる (2021年12月7日 15時) (レス) @page30 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ほぉ…これが降谷さんとの至高の領域だな???ちょっと最上級の語彙力調達してきますね?手持ちの語彙じゃこの素晴らしさは語れないので!!!! (2021年4月30日 23時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - あむむさん» 完結してからしばらく経ってるのに見つけてくれてありがとうございます…!!そんなに褒めて頂けるなんて嬉しすぎて私の心臓が取れます…!25機も消失してご無事ですか!?笑 最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年11月9日 17時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
あむむ - 初めまして。どうにもこうにも我慢出来なくてコメント失礼します!泣きましたキュンキュンしました心臓取れました辛すぎましたその文章力に脱帽しました!25機くらいは消滅しました…!完結おめでとうございます。お疲れ様でした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: eaf01be664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年9月21日 21時