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057:ユウガオ ページ12

それから少しして、Aもようやく弾丸を的に当てられるようになってきた頃だった。

その日も変わらず射撃の練習。

術科センターには俺の怒鳴り声が響いていた。


「だから右手の力もっと抜け!何回言わせるんだ!」

『わかってますよ!抜いてますって!』

「出来てないから言ってるんだ!」

『もー!そこまで言うなら降谷さん撃って下さいよ!お手本!』


そう言われて銃を受け取り、的を狙う。

ダンッと音を立てて発射した弾は狂いなく真ん中を射抜いた。


『うわ、怖すぎ…顔は赤ちゃんのくせに』

「殴り飛ばすぞ。ほらやってみろ」

『はぁい』


間延びした返事をして銃を握った彼女の姿勢に口出ししながら構えさせる。

バカでかい音と共に弾丸が飛ぶ。

Aが撃ち抜いた的は、ド真ん中にだけ穴を開けていた。

…え、まじか!?あそこに当てたのか!?あのAが!?


『うそ、当たった!?きゃー!やったー!!
真ん中なんて初めて当たりました!!』

「お前やればできるじゃないか!」

『降谷さん今夜は焼肉奢って下さいね!』

「あのなぁ…まぁそうだな。今日はいいよ、奢ってやる」


無邪気に喜ぶAの頭に笑って手を置く。

真ん中に当たったのは今回が初めてだけど、きっとこれからもっと当たるようになってくるだろう。

そしたらこいつももっと現場で活躍するようになるだろう、なんて思っていた。


けれど、彼女が銃を握れたのはその日が最後だった。



次の日はテロ組織の突入作戦の決行日だった。

大したことのない案件だったからその日はAも現場に出ていた。

さっさと遂行して終わらせようと思っていた。

先頭に立って敵を撃ち抜きながら制圧していく。

そして最上階に飛び出したその瞬間だった。


『降谷さん!!』


聞き慣れた高めの声が聞こえて、直後に銃声が響いた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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びびか(プロフ) - この作品の作り込みが凄すぎて本当に好きです。。素敵な作品に出会えて良かったです!ありがとうございました! (2023年3月27日 20時) (レス) @page32 id: b527a1d6e3 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 想像するだけでこっちが照れてくる (2021年12月7日 15時) (レス) @page30 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ほぉ…これが降谷さんとの至高の領域だな???ちょっと最上級の語彙力調達してきますね?手持ちの語彙じゃこの素晴らしさは語れないので!!!! (2021年4月30日 23時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - あむむさん» 完結してからしばらく経ってるのに見つけてくれてありがとうございます…!!そんなに褒めて頂けるなんて嬉しすぎて私の心臓が取れます…!25機も消失してご無事ですか!?笑 最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年11月9日 17時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
あむむ - 初めまして。どうにもこうにも我慢出来なくてコメント失礼します!泣きましたキュンキュンしました心臓取れました辛すぎましたその文章力に脱帽しました!25機くらいは消滅しました…!完結おめでとうございます。お疲れ様でした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: eaf01be664 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年9月21日 21時

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