■04-7 ページ7
.
放課後。
私は美術室まで来ると、部屋の前で一度立ち止まった。
そして覚悟を決めてドアを開けると
そこにいたのは、しろちゃんではなく海根さんだった。
｢ざーんねん｣
騙されたんだとすぐに分かった。
｢ほら、見てみな｣
｢⋯⋯火賀くん！｣
海根さんの視線の先を追うと、そこには非常階段の踊り場で
揉め合うしろちゃんと火賀くんの姿があり
私は慌てて窓辺に向かった。
｢もうすぐ火賀はあそこから落ちる。
あんたと入れ替わりたいと思いながらね｣
｢え？｣
｢助ける方法は一つだけ。絶対に火賀から目を背けないこと｣
⋯⋯⋯⋯っ、そんなの絶対にダメ！
｢火賀くん！｣
｢ちょっ！｣
今すぐ2人のところに行こうとしたけど
後ろから羽交い締めにされて動けなくなってしまった。
｢何するの！｣
｢おとなしくしてろっつーの｣
｢⋯⋯っ、放して！放して！｣
｢いいじゃん火賀の姿の方が！その顔でいるよりマシでしょ｣
⋯⋯違う。⋯⋯私は⋯⋯
私は振り返ると、海根さんの頬を叩いた。
｢私はあなたとは違う！
もう元の体に戻れなくても、この姿でも⋯⋯
ここからあなたが悔しがるほど幸せになってみせる！」
驚いた顔で私を呆然と見つめる海根さんにそう言うと
私は窓をあけて、力いっぱい叫んだ。
｢しろちゃん、もうやめて！火賀くん、逃げて！｣
でも、次の瞬間。
バランスを崩した2人が階段のフェンスを越えて落ちていく。
全てがスローモーションに見えた。
ゆっくりと落ちていった2人は
そのまま地面に打ち付けられる。そして聞こえた衝突音。
でも、しばらく経っても私の体に変化はない。
⋯⋯あれ？
⋯⋯入れ替わって⋯⋯⋯ない
｢嘘⋯⋯。いや⋯⋯いや！」
窓を飛び越え走っていく海根さん。
｢火賀くん！｣
私も慌てて火賀くんのもとへ行き
何度も名前を呼ぶけど返答は無い。
｢火賀くん！ねぇ⋯⋯ねぇ、火賀くん！しっかりしてよ！｣
⋯⋯恐くて、仕方ない。
手が震えて、溢れてくる涙。
｢⋯⋯しろちゃん？｣
その時、隣で倒れていたしろちゃんが突然起き上がった。
でも、どこか様子がおかしい。
しろちゃんは倒れたままの火賀くんをジッと見たまま
｢⋯⋯なんやねん、これ｣
そう呟いたんだ。
｢⋯⋯嘘⋯⋯⋯火賀くん？｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっちゃん(プロフ) - 桐山めぐさん» 桐山めぐさんコメントありがとうございます！とても嬉しいです(,,ᴗ ᴗ,,)出来るだけ早めに続編が出せるように頑張ります！ (9月12日 12時) (
レス) @page19 id: f425ed1b5c (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは！私は続編希望です☆火賀くん大好きなのでぜひよろしくお願いします(*^_^*) (9月10日 10時) (レス) @page19 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 桐山めぐさん» 桐山めぐさん返事が遅くなってしまい大変申し訳ございません。リクエストありがとうございます！出来るだけ早く上げられるように頑張りますので少々お待ちください。 (7月10日 4時) (レス) @page17 id: f425ed1b5c (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - 完結おめでとうございます！よだか大好きなので楽しませてもらいました♪番外編楽しみにしてますね(*^_^*)リクエストいいですか？昔火賀くんと仲良かった女の子が現れて主人公ちゃんが嫉妬してしまうお話が読みたいです♪よろしくお願いします(^_^) (6月19日 9時) (レス) id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - 全然大丈夫です！！火賀くんとの恋がめちゃくちゃ気になっていたので、ここからは2人の恋模様を描いて頂きたいです！！この後の展開もめちゃくちゃ楽しみにしてます(*^_^*) (6月19日 0時) (レス) @page16 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なっちゃん
| 作成日時：2023年6月7日 10時
