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37.飴色 ページ39

『うわハンドル遠っっ!降谷さん手足長すぎじゃないですか?怖いです』

「普通だ」


Aはそんなことを言いながらシートを動かしてハンドルを握った。

なんかさっきから言葉の節々がいつもより棘がある気がするんだよな…

いつも俺に尻尾を振ってるAが、全然笑わないしツンツンしてる。


そんな彼女の横顔を見ているうちに、車は問題なく地下駐車場を抜ける。

へぇ…本当に運転できるんだな…ちょっと意外だ。

そのまま眺めていると、前を向いたまま眉を寄せたAの頬に少し赤が走った。



『……降谷さん、あんまり見ないでくれませんか?』

「え?あぁ…車ボコボコになって帰る覚悟してたから拍子抜けして…」

『降谷さんの中の私ってスペック低すぎません?』


仕方ないだろ。実際ポンコツなんだから。

流石にボコボコにされる覚悟を決めてたのは嘘だけど。

前に視線を戻してネクタイを緩める。

思ったより辛くなってきて、目を閉じた。

すると少ししてから隣から声が聞こえた。



『降谷さん?』

「…なんだ」

『いえ、寝るなら私の家に向かわざるをえなくなるんですが…』

「大丈夫だ、起きてる」

『よかった。あとちょっとですから寝ないで下さいね、カーナビしてもらわないと困ります』


上司をカーナビ呼ばわりとはいい度胸だなこの野郎。

目を開けて運転席を見れば、やっぱりAの表情はいつもと少し違う。

声のトーンだって若干低い。

顔を背けて窓の外を見ながら、なにげない風を装ってAに聞いた。



「お前、なんかさっきから冷たくないか?」


ていうか明らかに不機嫌だろ。

いつもは何かあっても秒で機嫌を直すのに。


少しの間の沈黙。

Aはやがてぶっきらぼうに言った。



『降谷さんを大事にしない人は、降谷さんでも嫌いです。』

「……はぁ?」


何言ってんだこいつ。

…いや、なんとなくわかるけど。

要するに過労で熱なんか出したことを怒ってるんだろう。

こいつ本当に俺のことになると怒りの沸点低いな…

無理をすれば怒ってくれる人がいるだなんてことが嬉しくて、思わず小さく笑ってしまった。



『なんですか?』

「いや、やっぱお前可愛いなと思って」

『……降谷さんは熱出すと変なこと言うタイプだってことはよくわかりました』


そうは言うけれど、赤くなった頬は全く隠せてない。

運転中だからちょっかい出せないのが残念だな、とぼんやり考えた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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