31.葵色 ページ33
全部和食で揃えてるあたりはポイントが高い。
Aは割り箸を割って1番手前の肉じゃがを取る。
そしてそれをそのまま俺の口の前まで持ってきた。
『はい降谷さん!』
「え」
『大丈夫です!ちゃんとまともな味しますから!』
いやそこじゃねえ。
まさかこいつ、このままこの箸にかぶりつけって言うのかよ。
なんで普段すぐ赤くなるくせに変なとこで照れないんだ。
これじゃあまるで新婚……あー、今のなし。
「降谷さんに毒見なんて…!」と慌てていたその場の全員が、見てはいけないものを見てしまったかのように一斉に顔を背ける。
やめろ逆に恥ずいわ。
Aは急に視線を外され一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに真面目な顔で俺の方を見た。
こいつ気づいてないのかよ…
わざわざ指摘するのも気にしてるようでなんだか癪に障るし、視線がないうちにパクッと肉じゃがを口に入れる。
うるさいくらいのAの視線を感じながら咀嚼した。
………え、なんだこれ。うそだろおい。
「………めっちゃうまい」
俺のその言葉に、全員が背けていた顔をバッと戻し、Aが嬉しそうに笑う。
まじかよ。ほんとにうまい。
出汁がきいてて甘めの味付けが口の中に広がって、冷めても全く問題なく美味しい。
『ね!ほらね!大丈夫って言ったでしょう!?』
「これ本っ当にお前が作ったのか?」
『しつこいですよ降谷さん!そうですってば!』
Aはきゅっと眉を寄せたが、すぐに笑顔に戻って周りにも弁当を勧めた。
待ってましたと言わんばかりに「いただきます」と方々から聞こえ、各々目当てのおかずを取る。
一口食べ、絶賛の声が上がった。
そこからはもう戦争。
取り合い合戦。
Aの料理は完全に公安の胃袋を掴んだらしい。
まぁ…独り身のやつも多いし徹夜中は大したもん食べれないからな…
しかしこれだけの量を作ろうと思ったら、それなりに早起きしなければならなかったのではないだろうか。
バカだな、せっかく帰れたんだから罪悪感なんて覚えずちゃんと寝てよかったのに。
三角に包まれたいなり寿司を頬張りながらAの方を見れば、彼女は照れたように微笑みながら端でその様子を眺めていた。
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時