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16.砂色 ページ18

「で、要件はなんですか?」

「あぁ、会議でも議題に上がるだろうが、その前に聞きたいことがあってな…」


言いながら、彼はAの方をチラリと見た。

その視線の意図をなんとなく察してため息をつく。

ちっ…しょうがない…


「A」

『はい!』


元気よく返事をした犬に千円札を押し付けた。


「そのへんで飲み物買ってこい」

『赤井の分は?』

「いらん」

『了解です!』


適当な敬礼をしてダッシュで場を離れるA。

赤井はそんな彼女の背中を興味深そうに眺めていた。



「…君は思ったより面倒見がいいんだな」

「は?どこ見て言ってんだ。さっさと本題に入れ」


それもそうだな、と頷いた彼はタバコに火をつける。

そして1度吸って吐いてから静かに言った。



「組織の残党が動き出した」

「……」


…やっぱりその話か。

タバコの匂いが鼻をつく。



「まだ捕まっていないコードネーム持ちが2人いるだろう」

「…ポーラーと、シャトーですね」

「ああ、その二人を中心に集まりつつあるようだ。
そして恐らく、残党たちが最も憎んでいるのは、内から手引きをした君だろうな」


そりゃそうだろう。

あの作戦は小さな名探偵を中心に行われたが、それを知る人は数少ない。

しかしバーボンがNOCであったことは周知の事実だ。


「あの2人に関しては情報が極端に少ない。
基本的に2人だけで行動していたからな。
ポーラーなら会ったことはあるが…」

「ポーラー…僕は遠目に見たことがあるくらいです」


「問題はシャトーだな。
彼女の情報なんて皆無に等しい。
顔を見たやつは全員消されている。
マシンガンを躊躇なくぶっぱなすと聞いたくらいだ」

「…機関銃?」


思わず聞き返してしまった。

急に変なところに反応した俺に、赤井は不思議そうな顔をする。

あ、しまった。

しかしもう止めてしまった。仕方ない。

俺は少し間を置いてから、ポツリと言った。



「シャトーなら、会ったことがあります」

「…それは本当か?」


赤井の目が鋭く光る。


「顔は見てませんよ、お面を被ってましたから」


そこまで言ったところで、橋の上に明るい茶髪が見えた。

相変わらず有能なパシリだな…早すぎだろ。

一応空気を読んで声の届かないところで待っているようだが、こんな話をこんなところで長々話すのは得策ではないだろう。

赤井も同じことを考えたのか、小さく息をついた。


「続きは来週に」

「ええ」


それだけ言って、俺達は別れた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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