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5度目の言葉に思わず突っ込んだが、しかし彼の顔は真剣そのもの。
「やっぱりちゃんと話すべきですよ、降谷さんと」
『えぇー…』
「目くらい無理やり合わせにいけばいいじゃないですか。あなたはそれくらいできる人でしょう」
『……』
思わぬ言葉に口を噤む。
なんでもなさそうに言われたそれは、何故か私の心にストンと落ちた。
あれ、ほんとだ。私ってばなんで逃げてんだろう。
面倒くさい彼を小突くのはいつだって私の役目だったはずなのに。
そうだ、目も合わせてくれない彼を振り返らせるくらい、前にもやったじゃないか。
頭の中の霧がぱっと晴れた気がした。
と、その瞬間、突然新一くんの携帯が着信を告げた。
ちょっとすみません、と携帯の画面を確認した彼は、何故か微妙な表情をする。
そして目を瞑って長く息をつき、通話ボタンを押した。
「…こんにちは、降谷さん」
『え゛っ』
え、え、今降谷さんって言ったよね?
うそ、零さんがかけてきたの?
もしかして私のこと探してる?え、なんで?まさか今からお説教始まったりするの?
ちょ…っと待って、まだ心の準備が、できてないっていうか。
話すのはもうちょい色々考えてからにしたいっていうか…!
チラリとこっちを見た新一くんに全力で首を横に振る。
やめてやめて、お願い匿って。
しかしそんな私の願いは見事に蹴散らされた。
「奥さんなら俺の家に来てますよ」
『ああああああ新一くんの裏切り者ぉぉおお!!!!!』
ひっどい!!やめてって言ったのに!!!
私の叫びをスルーした新一くんはそのまま零さんと話を続ける。
私はその間に大慌てで荷物を片付けた。零さんが来る前にここから逃げてやる。
が、その直後、新一くんが急に固まった。
「…え、うちの前まで来てる?」
『……はい?』
ピンポーン、と悪魔の来訪を告げるベルが鳴る。
え、うそうそうそ。零さん来た?もしかして詰み?ジ・エンド?私これからサタン様にシバかれるコース?
玄関に向かおうとした新一くんの手を思わず掴んだ。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時