顔が良ければ全て良しだって未だに思ってるだろ！！【降谷零/安室透】

parallel：ミステリアスアクトレス ページ45

＊夢主女優パロ
＊もしも夢主が女優をやりながら協力者をやっていたらというifです。あくまでifです
＊なんでも大丈夫な方だけ


降谷side


それは、久々にまともな時間に家に帰ってきて、ご飯を作って、テレビでも見ながら食べるかとリモコンのボタンを押した夜だった。

テレビに映ったのは今夜最終回を迎える人気ドラマ。

机の上に並んだご飯の前でリモコンを持ったまま固まる。

今まさにクライマックスらしいドラマでは、最近人気の俳優と女優の──Aのラブシーンが流れている。


｢僕は君が好きなんだ。君に隣にいてほしい｣

『ええ、もちろんよ。ずっとあなたと一緒にいるわ』


アップで映される二人の顔。

ゆっくりと詰められる距離。

ここぞと言わんばかりに大きくなるバックミュージック。

これから訪れるのは、ドラマを見ていた人達がずっと待ち望んでいたであろうシーン。

あと数センチで唇同士がぶつかる。


しかし、キスシーンが我が家のテレビに映されることはなかった。

気づいた時にはバキャッッという音が部屋の中に響き渡り、オリコンで1位を取った主題歌は途切れてしまっていた。


｢………あ。｣


静かになった室内に自分の声だけが響く。

バキバキに割れた真っ黒な液晶から手を引き抜いた。


あーあ…またやってしまった。

何度目かわからないテレビの破壊。

だって仕方ないだろう。あいつのラブシーンなんてまともに見れるわけがない。

今頃流れているだろうエンドロールの１番最初に出るのは、恐らくAの名前だ。


ため息をついて食卓に座る。

少し冷めてしまった料理を黙々と食べだした。この肉うまいな。あいつも呼べばよかった。


急に世間に出てきた人気急上昇中の女優。

彼女が実は元公安警察で現在も協力者であることを知るのは、限られたわずかな人間だけである。

…ま、バラエティで運動音痴を散々ネタにされていたAが元警察官だなんて思うような奴はいないだろうけど。

あれだけ演技力が凄まじいのだ。ドラマに脇役で出ただけですぐに話題になった。

今はモデルも女優もなんでもやってるし歌まで歌ってる。
ダンスは酷い有様だからやってないらしいが。


なんていうかこう、全国のAのファンに｢俺の方が先に好きになったからな｣｢俺が絶対１番Aのこと好きだからな｣と言いたい気分だ。言わないけど。

ドラマの最終回中のはずの時間に届いた調査報告のメールをザッと確認し、｢おつかれ｣とだけ返信した。

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